アリババ系小口金融「花唄」、中国人民銀行にユーザー5億人の信用情報提供へ

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アリババ系フィンテック企業「アント・グループ(螞蟻集団)」傘下で小口金融サービスを手掛ける「花唄(Huabei)」は9月22日、中国人民銀行(中央銀行)の信用調査システムとの連携を進めていることを明らかにした。将来的には全ユーザーの情報を信用調査システムと共有することとなる。

このニュースが報じられると、中国版ツイッター「微博(Weibo)」は困惑の声で溢れ返った。関連投稿の閲覧数は9月24日時点で5億8000万回に達した。

信用調査システムは「企業信用情報基礎データベース」と「個人信用情報基礎データベース」から成り、金融機関の与信情報や企業の主な財務指標が蓄積されている。2019年4月に「新版・個人信用調査報告」がリリースされたことで、水道料金の滞納すらも個人の信用に影響する可能性が出てきた。中国は世界最大の信用調査システムを確立したと報じるメディアもある。

花唄は、決済アプリ「支付宝(アリペイ)」を利用する際に後払いができるようになるサービスだ。クレジットカードと同様の機能だ。利用者の消費レベルやアント・グループが運営する個人信用評価システム「芝麻信用(Zhima Credit)」のスコアに基づき、1000元(約1万7000円)から5万元(約85万円)の幅で限度額が設定される。クレジットカードよりもハードルが低いため、学生を含む若い利用者が多い。支付宝のリポートによると、昨年の利用者の内訳は、90年代生まれが33%、80年代生まれが48.5%、70年代生まれが14.3%だった。

アント・グループが昨年公開した目論見書によると、支付宝の年間アクティブユーザー数は約10億人で、うち約5億人が花唄を利用していた。国民的なアプリとなった花唄が中国人民銀行の信用調査システムと連携したことで、どのような影響が出てくるのだろうか。

信用調査システムとの連携で何が起こるか

信用調査の対象となったユーザーには、花唄アプリのアップデートを求める通知が送付される。アップデートするには、花唄が中国人民銀行の信用調査システムに個人の信用情報を提供することに同意し「個人の信用調査の照会・報告に関する同意書」にサインしなければならない。

花唄は現在のところ、信用調査システムに提供する情報はアカウント開設日や与信限度額、利用状況などに限られるとしている。また、これらの情報は決済ごとではなく1カ月単位で送信され、個人が何を購入したかなど消費に関する具体的な情報は提供されず、信用記録の件数が激増することもないという。

花唄のカスタマーサービスによると、ユーザーが信用情報の提供に同意しない場合、サービスを利用できなくなる可能性がある。また、同意後も花唄をシャットダウンすれば信用情報の提供を中止できるが、そのアカウントは利用できなくなるという。

ユーザーの利用状況は信用調査システムに直接送信される。規約違反や滞納などがあったユーザーは、住宅や自動車のローンを組む際だけでなく、通常の移動にも影響が出る可能性がある。

花唄は「銀行はローン申請を受け、ユーザーの財務状況や収支データ、借入状況、過去の信用情報などを総合的に評価する。花唄の利用状況に問題がなければ、金融サービスを受ける際に不都合は生じない。ちなみに、花唄のユーザーの99%以上は利用記録に問題がない」としている。

とはいえ、花唄が5億人に上るユーザー全員の信用情報を中国人民銀行の信用調査システムに提供するには膨大な作業が必要な上、銀行側も第2世代の信用調査システムへの切り替え作業を進めている最中だ。花唄が中国人民銀行の信用調査システムと全面的に連携するには、まだ時間がかかりそうだ。

作者:「億欧網(WeChat ID:i-yiou)」、胡小鳳、編集・顧彦

(翻訳・田村広子)

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