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米アップルが、ワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッズ)」に補聴器や体温計、姿勢モニターなどのヘルスケア機能を搭載する方向で検討していることが明らかになった。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
ヘルスケア機能をセールスポイントとするアップル製品は増え続けている。ただ、これまでは同機能の大半がスマートウオッチ「Apple Watch」に採用されてきた。しかし今回、アップルが他のデバイスにも同機能を導入することに意欲的であることが改めて示された。
アップルは現在、ウエアラブルデバイスに血圧や体温、睡眠の質、血糖値、血中酸素濃度などを測定できるセンサーを搭載する方向で検討しており、iPhoneを利用してうつ病や認知機能の低下を検知する技術の研究にも取り組んでいるという。
WSJによると、エアポッズに新規開発した専用の補聴機能を搭載するのか、既存の聴覚支援機能を改善したエアポッズを補聴器として販売するのか、詳細な計画は明らかになっていない。
エアポッズに補聴機能が追加されれば、ユーザー層が大きく広がるだろう。ジョンズ・ホプキンス大学の聴覚関連研究所によると、米国には軽度難聴者が約2800万人、中等度難聴者が約1200万人いるが、補聴器を利用している軽度難聴者は5%で、中等度難聴者でも37%にとどまっている。
同研究所に所属する研究者は、エアポッズが医師の処方を必要としない補聴器として提供されるようになれば、アップルが業界の「ゲームチェンジャー」になる可能性があるとの見方を示した。
しかし、エアポッズのバッテリーは24時間の連続使用に耐えられないため、一部の難聴者には適応しない可能性がある。また、米国の医療機器の販売に関する規則では、認可を受けた専門家のみが補聴器の販売や聞こえの調整などをできることになっている。そのため、現段階ではエアポッズを補聴器として販売することはできない。
米国の市場調査会社Strategy Analyticsによると、エアポッズは世界のワイヤレスイヤホン市場で圧倒的シェアを誇っている。昨年の売上高は推定128億ドル(約1兆4000億円)に上った。しかし、補聴器市場では、ライバルの音響機器大手BOSE(ボーズ)に先を越されている。ボーズはすでに、米食品医薬品局(FDA)から医療機器として販売することを承認された補聴器を発売している。
FDAは来年、医師の処方を必要としない補聴器の安全性と有効性に関する新たな規則をまとめるとみられる。新たな規則では、軽度から中等度の難聴を抱えるユーザーが自らの手で補聴器を調整できるようになるようだ。アップルやボーズだけでなくサムスンなどが認可を受け、より手頃な価格で補聴器を発売することも予想される。
作者:「智東西(WeChat ID:zhidxcom)」
(翻訳・田村広子)
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