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2013年に福建省廈門(アモイ)市で設立されたVC「堅果資本(Capital Nuts)」はこれまで68のプロジェクトに出資しており、現在は第3期ファンドの応募を終了したところだ。その管理資産は10億元(約163億円)に達する。
堅果資本は、創業アーリーステージからミドルステージの企業に特化して出資し、特に海外案件の支援で名高い。これまで手掛けたプロジェクトの4割、約30件がこれに相当する。例えば、越境ECプラットフォーム「執御(Jollychic)」「賽維網絡(SAILVAN NETWORK)」「家世比(HOMEBI)」「易捷楽(E-Joyer)」、ECなどの構築支援サービス「TIJN(海湾趨勢)」「socialbird(笨鳥社交)」などである。
海外進出案件や海外案件に関するノウハウや現状について、36Krは堅果資本パートナーの孫鴻達氏、邵元勝氏に伺った。
Q:海外進出させる企業を選ぶ基準は?
堅果:3つある。1)国内で市場が独占されており、シェア拡大が困難な業種、2)国内ですでに強固なサプライチェーンを構築している事業体、3)国内の激しい競争で戦闘力を高めた組織、だ。
特にEC分野では、多くの中国企業が優れた運営能力を持っている。B2Cプラットフォームに勢いがあり、粗利率も高い。
米国同様、スタートアップが活況を呈する中国では、海外進出を狙う中小企業が多い。国内の成功モデルを海外にも転用できると踏むわけだが、海外市場は当然のことながら環境も需要も異なるので、製品やサービスをどう見せるか、運営方法をどうするのか、調整が必要だ。
Q:越境EC関連にはどのような変化が?
堅果:出店者にとっては、モバイル端末からの集客力、ソーシャルメディアへの露出度、バーティカルコマース(商品やターゲットの絞り込み)、明朗な運営方式などがポイントになってくる。
フロントエンドでは、2017年に第2の「自社ECサイト」ブームがあった。国内では事例が少ないが、大型ECモールに属さず、ユーザーや商品のターゲットをあらかじめ絞り込んだプラットフォームだ。
ECモールに出店すると、プラットフォーム内での生存競争で消耗してしまう。他社との差別化に失敗すれば価格競争に終始する結果になる。一方、自社ECサイトでは、全ての訪問者が自社の顧客だ。この種のサイトは従来、集客をSEOに頼っていたが、ユーザーの定着につながらないのがネックだった。現在はソーシャルメディア経由で集客する方法が主流になっている。
中国と海外ではインフルエンサーが持つ力がまったく異なる。海外のインフルエンサーは純粋に個人の興味に沿ってアカウントを運営しているケースが多く、ビジネス的な意図が薄い。フォロワーはこうしたコンテンツにこそ購買意欲をかき立てられるようだ。中国のインフルエンサーと比較して、彼らがフォロワーの購買に貢献する能力は5~10倍に達する。つまり、ROI(投資利益率)が高いのだ。インスタグラムで100万人のフォロワーがついていれば、それは中国内のSNSでフォロワー1000万人がいるのと同等の価値があるということになる。
Q:海外進出する企業への出資基準は?
A:アマゾンのような大規模プラットフォームに出店している企業は苦戦を強いられている。それよりも、取扱商品に絞って徹底的に深掘りしているインディーズ系企業に好機が訪れるだろう。特定の分野で強力なサプライチェーンを構築し、ニッチなプラットフォームや自社サイトで展開しているような企業だ。
メインストリームを外れ、独自の道を歩む企業は、ブランド認知において差別化の機会も大きい。こうした企業は海外のSNSを経由すれば、グローバル規模で展開できる可能性がある。インスタグラムでプロモーションを行い、初年で流通総額1億ドルを達成した事例もある。
こうしたブランドを育てるには一定の年月が必要だ。例えすぐに結果が出なくても、時間をかけてブランド力や経験、人材の質を磨き続けている企業には魅力を感じる。
とは言え、いわゆるブルーオーシャンにばかり注目しているわけではない。新興ブランドの勢いは、やはり一時的なものだからだ。我々がスタートアップに期待するのは、「業界に対する深い理解」「強固なサプライチェーンと情報化力」「優れたPR力」という3つのポイントだ。
Q:海外進出企業をサポートする側の企業にも出資していますね?
A:データや広告、サプライチェーンなどの分野で海外進出企業をサポートする企業にはチャンスが多い。ほとんどの越境EC企業はデータのクレンジングや応用が不得手で、ビッグデータを扱える人材がいないからだ。
ただし、我々はERP(統合基幹情報システム)の採用に関しては慎重だ。個々の企業の独自性を壊してしまうこともあるからだ。創業初期には活用に適している場合が多いが、運営がある程度軌道に乗りだしたら、その時々のフェーズに応じて徐々に運営体制を固めていく方がよいと考える。
水を売る人の商売は永遠に廃れない。なぜなら、需要が枯れることはないからだ。海外進出企業の支援に関しても同じことが言える。
(翻訳・愛玉)
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