中国、デジタルツインで都市管理 政府も積極的に後押し

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デジタルツイン技術を手がける「北京飛渡科技(Beijing Freedo Technology)」がシリーズAで1億元(約18億円)近くを調達した。出資を主導したのは「広州天目(Guangzhou Tianmu)」と「碧桂園創投(Country Garden Venture Capital)」。飛渡科技にとってこの1年半で3回目の資金調達となる。

創業者の宋彬CEOは今回調達した資金について「デジタルツインやBIMなどコア技術の改良と研究、イノベーション型プロダクトのプロモーションに充てる」と語った。(編集部注:BIMとは「ビルディング・インフォメーション・モデリング」の略称。3Dで設計図を作るシステムを指す)

2016年創業の飛渡科技は、デジタルツイン技術で中国をリードする企業だ。知的財産権を持つ国産のデジタルツイン・ソリューションの提供を目指してデジタルツイン基盤の開発に取り組んでおり、都市レベルなどの大規模3Dデータの読み込み、リアルタイムレンダリング、シミュレーション、情報共有などの分野で先端技術を有する。現在、同社には300人近くが在籍しており、そのうちの7割ほどを研究開発スタッフが占めている。

デジタルツイン技術は中国政府が最重要視する分野の一つだ。習近平国家主席は第19回党大会報告の中で次のように述べた。「情報化によって国家の管理体制と管理スキルの近代化を進め、スマートシティーの建設をレベルごとに推進していく。情報の障壁を打ち破り、全国的な情報リソース共有システムを構築することで、情報化を通じた社会情勢の察知、スムーズなコミュニケーション、論理的意思決定のサポートを実現する」。

2020年4月には国家発展改革委員会と中央サイバーセキュリティー・情報化委員会弁公室(中央網信弁)がクラウド・ビッグデータ活用・スマート化の推進に関する実施案を発表、その中で「デジタルツイン」に何度も言及しており、クラウドコンピューティングやAI、5G、IoTなどの技術と同様に高い関心が寄せられていることが示された。

飛渡のデジタルツインは膨大なデータへのアクセスが可能で、インテリジェント・オペレーション・センターによる都市や工業団地の運営管理を実現できる

同社のデジタルツインは競合サービスと比べ、データの軽量化とレンダリング能力の点で傑出している。今回出資を行った広州天目はこう語る。「飛渡科技はマルチソースデータの処理、データ管理の自動化、高精度レンダリングなどの分野で世界トップクラスの技術を有しており、特にマスデータ処理の優位性は際立っている。前述の技術を強みに3D活用のハードルを下げることに成功し、高い技術障壁と市場競争力を打ち立ててきた」

主力プロダクトにはデジタルツイン(DTS)プラットフォームや都市情報モデル(CIM)プラットフォームがあり、都市や工業団地、飛行場、地下鉄、電気・ガス工事など幅広い分野で活用されている。地方自治体とも提携し、深圳市、南京市、広州市、アモイ市、西安市などでデジタルツイン都市情報モデルプラットフォームの建設を行っている。

宋CEOによると、同社はこれまで1000社以上にサービスを提供したほか、中国鉄建(CRCC)、中国電力建設(PowerChina)、清華大学など各産業界のトップ企業や機構を含む100件以上のデジタル化重点プロジェクトを請け負っており、高い評価を得ているという。またテンセントクラウド(騰訊雲)とも緊密に連携しており、同クラウドの都市情報モデルにおけるエコシステム・パートナーとなっている。

都市情報モデルは、都市のあらゆる情報をモデル化したスマートシティーのデジタル基盤

今回の資金調達を受けて、飛渡科技はデジタルトランスフォーメーションを推進するコア技術への投資を続けるほか、イノベーション型プロダクトの開発とプロモーションにより多くのエネルギーとリソースを投入する予定だ。今後は空間データ処理やデータ可視化の分野で、操作性とコストパフォーマンスに優れた高性能のプロダクトをリリースし、市場シェアのさらなる拡大を目指すという。

(翻訳・畠中裕子)

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