目指せブックオフ? 中国の中古書籍取引プラットフォームの今

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デジタルデバイスがこれほど普及した現代でも、依然として人は書籍に惹かれるようだ。2017年、中国の書籍市場は803億2000万元(約1兆3000億円)に達したが、これは前年比14.55%増という好成績だ。また、消費者の50%が電子書籍ではなく、紙の書籍を選んでいるという。

このことを裏付けるかのように、Eコマースの世界でも古本市場が活況だという。「多抓魚(deja vu)」「閲隣小書市(yuelin.im)」「漫游鯨(Roaming Whale)」「転転(Zhuan Zhuan)」など多くの古本取引プラットフォームが登場し、資金調達に成功している。

古本取引プラットフォームには大別して2つの形態がある。一つはC2B2Cモデルで、もう一つはサプライチェーンを改造するモデルだ。

古本取引活況の理由と問題点

古本取引にスポットが当たり、活況となった原因は以下の二つが考えられる。

■ユーズド品、レンタル品などの循環経済が市場に受け入れられた。
■コンテンツ消費が習慣化した中間層に、さらなる知識欲が生まれた。「手ごろな価格でより多くの知識を得たい」という彼らの需要に、古本が合致した。

活況とはいえ、問題点もある。以下の二つだ。

■C2Cの場合は回転率が高ければいいが、買取が発生するC2B2Cの場合はキャッシュフローの問題がつきまとう。
■プラットフォーム側では出品量をコントロールできず、商品を安定供給できない。

書籍の取引は標準化しやすく、基本的には値段交渉もないため、そもそもリユースに向いている。ただし、破損や汚れがあれば相応の価格に落とさざるを得ず、一方で絶版になった書籍などは希少性を武器に値を上げる。基本的には単品だ。

こうした問題に対する解決策には、各プラットフォームの考え方が現れる。

多抓魚:比較的早期に参入。創業当初は希少性や保存状態に関わらず一律価格で買い取っていた。現在は独自の査定システムを構築済み。

漫游鯨:買取は、現金ではなく、プラットフォーム内のみで使えるポイントで行う。このポイントを消費する目的で、出品者も購入者として取り込まれる。

閲隣小書市:恒久的な需要が見込める教材に絞って運営している。従来型の古書店では、売れる古本の80%以上が教科書や参考書だからだ。

転転:唯一、中古品全般を取り扱っているが、最も注力しているのは古本部門。今後は閲隣小書市と同様にジャンルを絞る可能性が高い。

古本取引市場はどこまで伸びるか?

客単価が低いことや、物流や在庫管理にかかるコストがネックとなり、爆発的な伸びは期待できないだろう。

経営規模を拡大するためには、取扱品目を増やしていくことが必須だが、実際には簡単ではない。古本に限らず、新品を扱う一般のECでも、この段階で判断を誤る場合がある。成功例としては、中古音楽・映像ソフト、中古家電、中古スポーツ用品などへ品目を拡大した日本のブックオフが挙げられる。いずれにしろ、書籍を出発点として、取扱商品を生活全般に拡大していけるかがポイントとなってくる。

その過渡期にあるのが、閲隣小書市だ。取扱商品を教材に絞り、仕入先も業者に限定することで運営コストを圧縮しているが、今後は古本取引で築いたサプライチェーンをひな形に、3C製品(コンピューター、通信機器、家電)の取引を始める計画だ。ポイントは、ターゲット顧客を引き続き学生に限定する点。彼らは密度が高い顧客グループを形成していることに加え、卒業や進学による入れ替わり周期も早いため、中古品取引に最もマッチしていると同社は考えている。
(翻訳・愛玉)

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