オシャレ店舗作りの手本はやっぱりTSUTAYA、カルチャー系メディア「十点読書」が初の出店

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「十点書店」アモイ万象城店

中国最大規模のカルチャーメディア「十点読書(Read at Ten)」を運営する「厦門十点文化伝播(Xiamen Shidian Cultural Communication)」が14日、アモイ市中心部の商業施設「万象城」に初の書店を開業した。

「十点書店(SHIDIAN BOOKSTORE)」は店舗面積700平方メートル。書店をメインに、書籍の閲覧スペース、ドリンクバー、自社ECで取り扱う商品の販売スペース、イベントスペースなどで構成されている。プレオープン期間中に早くも、万象城のテナントでトップクラスの来客数を記録した。

運営会社は、2010年に開設したWeibo(微博)公式アカウントのほか、Eコマース、ショート動画、著名人インタビュー、読書会、育児関連メディアなど、10以上の系列アカウントおよびプラットフォームを運営している。Weiboで2600万人のフォロワーを抱えるほか、全プラットフォームで計5000万人以上のフォロワーを擁する。

創業者兼CEOの林少氏は、出店の経緯について「オンラインで獲得した5000万人のファンを背景に、新小売(ニューリテール)や体験型消費のニーズに応える施設を実現する時だと判断した」と説明した。店舗で取り扱う2万冊の書籍や、数百点に及ぶライフスタイル提案商品は、オンラインユーザーから集積したデータを元に選定したという。

「十点書店」アモイ万象城店

36Krの記者が実際に店舗を訪れてみると、同様の業態とは明らかに異なる4つの特徴がみられた。

1)路面のウィンドウディスプレイが、いわゆる「インスタ映えスポット」になっている。
2)電話ボックスを模したオーディオシアターが設けられ、音楽コンテンツを試聴できる。
3)十点書店と複数の大手出版社が共同で運営する書籍のレコメンドスペースがある。ギャラリーも併設されている。
4)オンラインとオフラインの連動性が強い。WeChat(微信)ミニプログラムで公式アカウントを運営しており、「5分でわかる実用知識」「耳で聞く本」など、手軽で惹きが強そうなコンテンツをユーザーに届けている。

「十点書店」レコメンド書籍コーナー

ユーザーの気持ちに寄り添うコミュニケーション力やコンテンツ運営能力、ユーザーの需要を掴む洞察力に優れる同社だが、ユーザーを実店舗に誘導するためには一つ問題がある。5000万人のユーザーのうち、アモイ市在住者はわずか30万人なのだ。オフライン運営に従事する40人編成の専門チームを立ち上げているものの、商品選定から買い付け、サプライチェーン管理、在庫管理など、何もかもがオンラインとは勝手が異なる。

しかし、林CEOは、主戦場のオンラインには限界を感じていた。ユーザーを増やすだけなら、今後も数千万単位の目標を達成できると見込むが、その中からコアユーザーを育てていくには限界がある。その点、実店舗の運営はユーザーに直接触れ合える機会を創出してくれる。

これはバーチャル経済の限界でもある。プラットフォームが育てば育つほど、ブランドの立ち位置や事業価値で、より高度なレベルが求められる。実店舗経営の成功例では、書店を中核に多様な業態を取り込んで一つの「都市計画」にまで昇華させた日本の蔦屋書店(TSUTAYA)があるが、いずれにしても十点には蔦屋書店同様の大胆な試みが必要だ。

「十点書店」育児関連コーナー

林CEOの目標は、実店舗・新規メディア・アプリをかけ合わせた「カルチャー&ライフスタイルプラットフォーム」の構築だ。

十点読書のユーザーは7割以上が読書好きの女性。書店やアプリのコンセプトも彼女たちの需要に合わせている。十点書店の当面の目標は、リピート率、購買率、客単価の向上で、5年以内に100店の出店を目指している。
(翻訳・愛玉)

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