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中国の自動運転業界から新たなユニコーンが誕生した。「毫末智行科技(Haomo Intelligent Mobility Technology=Haomo.AI)」(以下、毫末智行)だ。
同社は2021年に資金調達を3度行った。2月10日に自動車大手「長城汽車(Great Wall Motor)」から資金調達(調達額不明)。その12日後にはプレシリーズAで「首鋼基金(Shougang Fund)」「美団(Meituan)」「高瓴創投(GL Ventures)」などから数億元(数十億円)を調達した。そしてこのほど、シリーズAで美団と高瓴創投のほか「高通創投(Qualcomm Ventures)」などから約10億元(約180億円)を調達し、評価額を10億ドル(約1100億円)の大台に乗せた。
このように短期間に資金調達を集中させた例は、自動車のスマート化に注目が集まる現在でもほとんどない。毫末智行は中国で最も速い成長が期待される自動運転企業の一つだ。
同社董事長の張凱氏は「2022年は自動運転業界の発展にとって最も重要な1年になる。先進運転支援システム(ADAS)分野の競争は後半戦に入り、乗用車向け以外の自動運転はビジネス化元年を迎えるだろう」との見方を示した上で「当社のADAS事業は7倍、ラストワンマイル向け自律型配送ロボット事業は3倍の規模に成長する見込みだ。すでに技術的にも資金的にも十分な準備ができている」と自信を見せた。
毫末智行は2019年、長城汽車の技術センターからスマートドライビング部門が独立する形で設立された。幹部には同センターで研究・開発に携わった人物のほか、百度(バイドゥ)やファーウェイなどのテック企業出身者が並ぶ。現在の社員数は約600人。
長城汽車から独立した同社は、競合する新興自動運転企業よりも事業展開のスピードが速かった。昨年10月に発表した先進運転支援システム「NOH」はすでに、長城汽車傘下の「WEY(魏牌)」から発売されたSUV「Mocha(摩卡)」に搭載されている。NOHは高精度地図がカバーする高速道路で、出発地点から目的地までの自動運転走行をサポートする。競合の「理想汽車(Li Auto)」は昨年末、ようやく類似のシステムをカーオーナー向けにリリースし始めたばかりだ。
毫末智行の顧維CEOは、大規模展開が可能なことに同社の優位性があると強調する。実際の走行データが大量に集められるのはもちろん、大量生産することで製品をより低価格で提供できる。
同社の先進運転支援システムを搭載した自動車は、今年中に40車種を超える見通しとなっている。いずれもMochaやオフロードSUV「Tank(坦克)」をはじめとする長城汽車の車種だ。同社は先ごろ、同社の先進運転支援システムを搭載した乗用車が今後3年で100万台を超えるとの見通しを明らかにした。
顧CEOは「現在リリースしているのは先進運転支援システムとラストワンマイル向け自律型配送ロボットだけだが、2022年はさらに多様な製品を打ち出していく」と意気込みを示す。同社は今後、物流や公共交通の分野にも進出するとみられる。
毫末智行は長城汽車が蓄積してきた自動車製造の能力を背景に、他社向けの自律型配送ロボットの量産も請け負っている。アリババと提携し、同社の自律型配送ロボット「小蛮驢(XiaoManLu)」の品質保証と量産を担当する。小蛮驢の導入台数は、今後3年で1万台に達する見込みだという。このほか、生活関連サービス大手「美団(Meituan)」とも同様の取り組みを進めている。同社は独自の自律型配送ロボットの運営も手掛けており、小売大手「物美集団(WUMART)」が展開する配送式スーパー「多点(Dmall)」と提携して配送事業に取り組んでいる。
顧CEOは以前、自動運転は「低速から高速へ、物の運搬から人の運搬へ、業務用から一般利用へ」と発展する法則があるとの考えを示していた。毫末智行は現在まさに、この道のりを歩んでいる。
(翻訳・田村広子)
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