アリババが「1919」に300億円超の出資、酒類販売業界でもニューリテール

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提携パートナーを次々と成功へと導いてきたアリババ(阿里巴巴)が、酒類販売業界にフォーカスした。

2018年10月18日、アリババは「壹玖壹玖酒類平台科技股份有限公司(1919.cn)」(以下1919)に20億元(約322億円)を投資して、同社の株式約29%を所有する第2位の大株主となった。1919の評価額は70億元(約1120億円)と見られる。

創業者の楊陵江氏が2006年に成都で設立した1919は、中国最大の酒類販売プラットフォームだ。早くからアリババから注意を向けられていると感じていた楊陵江氏は、2017年10月にアリババと戦略的パートナーシップ協定を締結した。

今回の投資は、アリババがニューリテール戦略の効果を証明する「モデルルーム」の構築を急いだためとの見方がある。投資や買収によって成功実績を作るには、早くからニューリテールを試みてきた1919は適役だった。

1919は2011年には事業にインターネットを取り入れ、2013年にはオンラインとオフラインでの販売を統合した。現在、1919のオンライン注文は全体の過半数を超える。

両社の提携により、1919はアリババから多くの恩恵を受ける。アリババの看板で大きな注目を集めるようになったほか、アリババ傘下の「天猫(Tmall)」などとの提携が進んでいる。なによりも、資金調達が難しい今、巨額の資金援助を受けられたことは大きい。

1919の資金調達後、同社が6億元(約96億元)を投じて実店舗を拡大すると報道された。ここ数年、1919は天猫「独身の日」セールの業績で首位に立ち、注文の80%を24時間以内に配達したが、その配送効率を実現したのが同社の実店舗だった。2兆元(約32兆円)規模の巨大な酒類市場で同社のシェアは0.5%にも満たないため、急ピッチで実店舗を展開しているのだ。

この出店計画により1919の収益率は短期的に落ち込むことが予想されるが、アリババと1919は現実的な見方をしており、短期的な利益よりビジネスモデルの構築を重視している。また1919には管理サービスを提供する関連会社が6社あり、業務の拡大に伴って物流や広告などのサービス収入が増加していることから、企業グループ全体での収益は増加傾向を維持するとみられる。

「売上高や利益を損うことがあっても、消費者へのサービスを損うことはない。私たちが注意しているのはビジネスモデル全体に及ぶ損失であり、短期的に数千万元、1億元の損失が出ても、何らプレッシャーには感じない」と楊陵江氏は語る。
(翻訳・畠中裕子)

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