チケット販売の「猫眼娯楽」が香港上場へ、厳冬を乗り切れるか

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エンターテイメントのチケット販売を手掛ける「猫眼娯楽(Entertainment Plus)」が、早ければ1月中にも香港市場に上場することがわかった。調達額は3〜4億ドル(約320~430億円)の見込み。昨年9月、ブルームバーグは同社が10億ドル(約1080億円)の資金調達を計画していると報じていた。

最新の目論見書によると、猫眼娯楽の2018年第1~3四半期の売上高は前年同期比99.6%増の30億6200万元(約487億円)、純損失は前年同期比5.26%減の1億4400万元(約23億円)となった。近年、同社の損失額は縮小しているが、黒字転換についてはまだ見通しが立っていない。

猫眼娯楽の主な事業は、エンターテイメント関連のチケット販売、コンテンツサービス、Eコマース、広告など。目論見書によると、オンラインチケット販売が主な収入源であり、2018年8月30日までの売上高は、前年同期比86%増の18億3200元(約293億円)だった。

急成長に伴ってコストも増加している。2018年9月までの売上原価は前年同期比4億7千万元( 約75億円)から11億元(約170億円)と2倍以上に、販売管理費は9億2200万元(約150億円)から17億2,400万元(約280億円)へ87%増加した。主にコンテンツ発掘や宣伝費の増加によるものだ。

目論見書のデータによると、2018年6月30日時点のオンラインチケット市場における猫眼娯楽のシェアは60.9%。2位のアリババグループ「淘票票(Taopiaopiao)」(シェア33.9%)を寄せ付けない、中国最大のオンラインチケット販売プラットフォームだ。

猫眼娯楽は 2014年から映画チケットの割引サービスを開始。9.9元(約160円)のチケットは大人気となり多くの観客を映画館に呼び込んだが、同時に経営を圧迫することになった。

一方で、業界トップへの返り咲きを目指す淘票票は、グループ企業の「阿里影業(アリババ・ピクチャーズ)」から10億元(約160億円)以上の投資を受けてブランディングとマーケティングを強化するという。

元々チケット販売事業は映画の人気に依存しており、変動幅が大きく不確実性が高い。また、競合他社からの圧力、外部環境に左右されやすい。さらに、チケット割引に関する新しい規制もリスク要因だ。たとえば、制作、配給、興行各社は、オンラインチケット販売プラットフォームに販促補助金を提供できなくなり、サードパーティのオンライン販売手数料は2元(約320円)を超えてはならなくなった。

ただし、巨額のチケット割引はオンラインチケット販売業の損失の原因なので、新規制によりチケットの売り上げは減少する一方、純利益は回復するとみられる。

猫眼娯楽は売り上げの多角化を目指し、その他の事業にも力を入れている。2018年9月時点で、売上高に占めるコンテンツサービスは29.8%、eコマース、広告その他は5.2%となっている。今後は映画制作への出資や関連商品の開発など、映画業界の上流と下流の双方に事業を拡大する考えだ。
(翻訳・神江乃緒)

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