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CCUS(CO2回収・貯留・再利用)技術開発の「清潔捕獲(CLEAN CO2)」がこのほど、「険峰長青(K2VC)」から数百万元(数千万円)を調達した。同社は2021年に設立され、浙江大学が開発した技術を援用し、セメントの生産過程で排出されるCO2を回収・再利用して低炭素コンクリートを生産する技術の開発に取り組んでいる。
CCUSは、世界的に再生可能エネルギー、バイオマスエネルギー、水素と並んでエネルギー転換の4本柱の1つとされている。中国もCO2排出量世界1位の国として、CCUSをカーボンニュートラル実現の重要な手段に位置づける。中国では2060年までに、CCUS技術を活用して貯留・再利用されるCO2が12〜29億トンになるとの試算結果も示されている。
建設業界はCO2排出量が多く、中でもセメントの生産過程で排出されるCO2の量は世界のCO2排出量の7%に上る。しかも、中国のセメント使用量は世界全体の6割以上を占めている。
中国では今年4月、国家標準規格「建築における省エネルギーおよび再生可能エネルギーの利用に関する共通規範」(GB55015-2021)が施行される。これに伴い、建設材料から排出されるCO2を効率的に削減する方法を巡って議論が活発化している。
清潔捕獲が取り組むのは、回収したCO2を利用してコンクリートを硬化養生し、低炭素コンクリートを生産する技術の開発だ。セメントを生産する過程で排出されたCO2とカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)などを反応させてコンクリートを硬化養生し、エネルギー消費量の削減とCO2のリサイクルを実現する。
同技術を利用した低炭素コンクリートは、従来のコンクリートよりも強度などを一定程度向上させられる上、養生時間を半分以下に短縮できる。しかも、従来の生産方法よりもコンクリートの全ライフサイクルで発生するCO2を8割削減できる。将来的に「カーボンマイナス」コンクリートの生産につながる可能性もある。
同社の説明によると、面積20万平方メートルのプレキャストコンクリート工場の場合、CO2を利用した硬化養生設備に改造する費用は全生産ラインの建設費の5%程度に収まり、硬化養生のコストも1トン当たり約200元(約3600円)に抑えられる。また、環境配慮型の生産方法に変更してもコスト増にはならず製品価格の上昇もないため、業界への普及を進める段階に入っているという。
創業者の趙超氏によると、CO2を利用して硬化養生したコンクリートやプレキャストコンクリートは、将来的には単なる建設材料を超え、新たなCO2吸収源になるという。同技術は今後、CO2排出量の取引制度を通じて1千億元(約1兆8000億円)規模の市場を生み出すと予測される。その最大の受益者となるのは、コンクリートメーカーと建設業者だろう。
清潔捕獲はすでに、建材世界最大手の中国建材(CNBM)などと戦略提携を結んでいる。同社の技術を利用した低炭素コンクリートが市場に出回るのが待たれる。
(翻訳・田村広子)
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