高級ブランド品リセールの「胖虎」 Z世代を取り込み中国版Farfetch目指す

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高級ブランド品のリセールを手がける「胖虎(PONHU)」がシリーズC+で4500万ドル(約52億円)を調達した。「穏実資本(Hedgestone Capital)」が出資を主導し、「金慧豊投資(JHF Investment)」や既存株主の「渶策資本(INCE Capital)」も出資に参加した。

胖虎は2015年に北京で事業を開始、ブランド品のリセールをメインにサステナブルファッションに取り組む販売プラットフォームを運営している。中古ブランド品取引の形態はオンライン・オフライン、業者向け・個人向けと幅広く、買い取りや委託販売から査定、メンテナンスなど取引全般に関わるサービスを提供している。

昨年6月のシリーズCから半年ほどで実施した今回の資金調達。胖虎がシリーズC全体で調達した資金は総額1億ドル(約115億円)に迫り、今回の追加ラウンドで評価額は倍増した。2021年のGMV(流通取引総額)は30億元(約540億円)に達するなど、業績も右肩上がりだ。

胖虎の店舗、画像は企業提供

近年、サステナビリティ(環境・経済・社会の持続可能な発展)が世界中で叫ばれるようになり、中古ブランド品取引市場は急成長を遂げてきた。中国の中古ブランド品取引の市場規模は、2025年に3068億元(約5兆5600億円)に達すると予測されている。欧米や日本などに比べ、中国では高級ブランド品のリセールがあまり浸透していないことから今後さらなる成長が期待される。

設立当初、胖虎は個人間の中古品取引を仲介していたが、徐々に業者向け事業へとシフトしていった。同時に見積もりツールやリサイクルステーション、第三者プラットフォームなどを通じて個人サイドから商品を完全に買い取ることで、業者側と個人側の商品供給源を統合した。

胖虎が採用している買い取り式は一般的な委託販売方式とは異なり、商品供給源をより適切にコントロールできる。創業者の馬成氏は、商品を適切に管理し、中古ブランド品の標準化システムを確立することで、情報の不透明性や不明瞭な価格設定という業界特有の問題を解決したいと語っている。

同社は人気デザインや価格を判断する独自のインテリジェントシステムを活用している。2017年にサプライチェーンを構築する際に、市場取引やオークションなどの情報を元にアルゴリズムの訓練を開始した。そしてデザインごとに中古品市場での流通価格を判断してバイヤーに提供し、品目や価格など仕入れの手引きを行う。「当社が仕入れる商品のデザインや数量、価格の9割はバイヤーではなくアルゴリズムが決定したものだ。これが販売実績を大きく伸ばす基礎となっている」と、馬氏は述べる。

2020年のパンデミック以降、胖虎はライブコマースなどコンテンツを活用した手法で個人向け事業へと軸足を移し始めた。この路線変更の効果は目覚ましく、2020年の売上高のうち個人向け販売が70%以上を占め、全体の売上高も倍増した。月間の在庫回転率は70%に達する。好調な個人向け事業を足がかりに2021年11月には初の旗艦店を北京市の三里屯にオープンし、オフラインの小売市場に参入を果たした。

ライブコマースの平均客単価7000元(約12万7000円)に対し、旗艦店の平均客単価は2万5000元(約45万3000円)を超えるという。開業から間もないものの、店舗の月間売上高は最高で5000万元(約9億円)に迫り、単独黒字化を達成した。今年の店舗売上高は6~8億元(約109~145億円)を見込む。さらに大都市2カ所に旗艦店を開設する準備が進んでいる。

今後、高級ブランド品の主力購買層となるのは若い世代だ。2025年までに、高級ブランド品消費の25%以上を「Z世代」が占めるようになると、コンサル会社ベイン・アンド・カンパニーは試算している。ブランド品を愛する20~40歳の購買層は、胖虎で消費の80%以上を担う主力軍だ。馬氏は今後3~5年の展望について、ハイエンドファッションを扱う「中国版Farfetch」を目指すと語っている。
(翻訳・畠中裕子)

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