中国版Pinterestの「花瓣網」がサービスを一時停止、完全にショート動画の時代へ

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中国版Pinterestの「花瓣網」がサービスを一時停止、完全にショート動画の時代へ

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「中国版Pinterest」として多くのクリエイターに親しまれている写真共有サイト「花瓣網(huaban.com)」が、バージョンアップのためにサービスを一時停止した。

Pinterestは2010年にローンチしたピンボード形式の写真共有サイトで、自分の興味や趣味を指定して関連写真を集める機能が魅力だ。ファッションやインテリア、レシピなどのアイディアを収集するのにも適している。Pinterestはアメリカで急速に人気が高まり、2012年にはフェイスブックやツイッターと並ぶ「三大SNS」に数えられた。2018年9月には月間訪問者数が前年同期比25%増の2億5000万人に達した。12月には米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが「2019年4月の上場を目指して準備中」と報じている。

中国でもPinterestを模したサービスが続々と登場した。花瓣網以外にも、女性ファッションに特化したECアプリ「蘑菇街(mogujie.com)」、「美麗説(meilishuo.com)」、ヘア&メイクなど女性のライフスタイルに特化した「堆糖網(duitang.com)」、テンセント傘下の「読図知天下」、タオバオ(淘宝)傘下の「頑兔社区」などがある。しかし、いずれもPinterestのような成功には至っていない。

「中国版Pinterest」に類するサービスは2つに大別できる。一つは蘑菇街のようにECへ誘導するタイプだ。蘑菇街は2011年にPV回復を狙って画像表示方法をPinterest同様のピンボード形式に切り替えた。ユーザーは気になる商品を見つけたらタオバオへ飛んで購入でき、売り上げの一部が蘑菇街に分配されるシステムだった。現在では自社ECを運営しており、タオバオほどの競争力はなく、2018年9月には純損失額が3億元(約48億円)を超えたとIPO目論見書で発表している。

蘑菇街とは対照的に、純粋な画像データベース的機能を提供しているのが花瓣網だ。2011年11月にローンチされ、画像検索とデザインサービスに特化している。2800万人に上るユーザーの多くはデザイナーで、デザイン素材を見つけたり、デザインの着想を得たりするために利用されている。

今回、1カ月の期限付きでサービスを一時停止したのは、著作権侵害などの法的問題が発生したからだとも推測されている。花瓣網が提供する画像のソースは主に3つ。一つはユーザーが投稿したもの(必ずしも本人が撮影したものとは限らない)、二つめはユーザーが作成したオリジナル画像(イラストなども含む)、もう一つは花瓣網が代理で管理する版権画像だ。一般ユーザーが任意で投稿する画像には、著作権法に抵触するものやプライバシーを侵害しているもの、内容的に問題のあるものなどが混入してしまう。画像を扱うサイトが共通して抱える問題だ。

また、十分に機能するビジネスモデルを構築できていない点も問題だ。ECへの誘導や広告で収益を得ると言っても、そもそもターゲットユーザーがデザイナーにほぼ限定されている以上、囲い込めるユーザー数に限りがあるからだ。現に、花瓣網は最近は資金を調達していない。5年前に数百万ドルを調達したシリーズBが最後だ。

「中国版Pinterest」がいずれも大きな成功に至っていないのは、Pinterestの表面的な機能をなぞるだけで、本質を理解して模倣したわけではないからだ。その結果、どのサービスも似たり寄ったりで、ビジネスとしての持久力も不足している。

また、文化的な背景も違いすぎた。Pinterestのユーザーは主に25~44歳の中間層の女性で、グルメ・ファッション・美容・インテリア・旅行・スポーツなど幅広い分野に興味を持ち、生活の質にこだわる。また、生活の質を追究するに足る購買力も兼ね備えている。こうした層は中国にはほとんど存在していない。

さらに、Pinterestは多量のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を必要とするが、優れたUGCを生成できるユーザーは中国には育っていない。加えて、市場のトレンドは完全に「TikTok(抖音)」や「快手(Kwai)」などのショート動画へ移ってしまった。

市場調査会社QuestMobileの2018年のレポートによると、モバイルインターネットの利用時間は1人当たり1日341.2分となっており、うち33.1%がショート動画の閲覧に費やされているという。若年層にとっては、文字と画像の組み合わせよりも、動画の方がダイレクトかつ手軽な伝達ツールになったと言えるだろう。
(翻訳・愛玉)

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