人材不足の中国外食業界、調理ロボが脚光 コスト削減も

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人材不足の中国外食業界、調理ロボが脚光 コスト削減も

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事業者向けに調理ロボットサービスを提供する「不停科技(Botinkit)」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。「惟一資本(WE Capital)」が出資を主導し、「漢能投資集団(Hina Group)」と「九派資本(Jiupai Capital)」が出資に加わった。

調理ロボットといえば、北京冬季オリンピックで注目を集め、国内外のアスリートやメディアがこぞって取り上げたことは記憶に新しい。日本の外食産業では、30年前にすしロボットが登場したことで手頃な価格の回転寿司が一気に普及し、世界にまで広がった。

不停科技の陳鋭CEOは、ロボットが手作業を代替してコスト削減と効率化を実現するのは出発点に過ぎないと考える。この先、既成概念を覆すような全く新しい外食シーンが誕生し、新エネルギー車や電子たばこが出現した当時にも劣らないほどの大きな変革をもたらすというのだ。

現在の中国の外食産業市場は、30年前の日本と多くの共通点がある。飲食店がチェーン展開に向かい、大手外食企業のIPOや中国ブランドの海外進出などが相次ぐ中で、これまでのような料理人に依存するビジネスでは追いつかない。一方、調理済み食品やセントラルキッチンの導入は部分的な解決策にはなりうるが、「素材の鮮度」「できたて」「風味」など中国料理に必要な要素を満たすことはできない。

このため国内外を問わず、調理ロボットには大きな可能性が広がっている。中国の飲食店を1000万店、ロボットを活用できる海外の飲食店を200万店として試算すると、事業者向け調理ロボットの市場規模は1兆3000億元(約23兆6300億円)に達する。調理ロボットについてはここ10年ほど、従来の設備メーカーやスタートアップ企業がさまざまな試みを行ってきたが、2022年から26年は急成長のピークが続くと陳CEOは考えている。

巨大な市場を前に、不停科技は外食業界への深い知見と利用シーンへの理解を生かしてロボット本体とコンテンツ(メニュー)の両面から製品を開発した。

不停科技の製品

ロボット本体に関しては、ユーザー体験と製品に対する信頼性に重きを置いた「Botin Robot」を開発。ロボットアームなどの従来型モデルではなく、効率的な料理提供が確実にでき、信頼性を高め部品コスト削減も実現できるデザインを採用した。

その調理ロボットの「頭脳」として機能するのがソフトウエアプラットフォーム「Botin Gallery」だ。Botin Robotと組み合わせて使用し、料理のプロセスをデジタル化することで、時間や地域を問わず同じ味を再現できる。

さらに飲食店の運営データをリアルタイムで分析し、より緻密な運営ができるようアドバイスするオンラインロボット「Botin Bota」も開発した。これらBotinシリーズを組み合わせることで、味のトータルソリューションを提供する。

陳CEOは次のように語る。「外食産業という大きな市場の中で、中華の炒め物は半分かそれ以上を占める。しかも炒め物の大部分は将来的に調理ロボットの導入が可能だ。だからこそ『ロボット本体+コンテンツ』という方式が主流になる。各社が知恵を絞っているのは、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせた製品力の構築やコンテンツの充実、究極のユーザー体験などだ」

不停科技の中心チームは香港科技大学、ジョージア工科大学、レンセラー工科大学、清華大学、華中科技大学など世界の名門校出身者で主に構成されている。コアメンバーはKPMG、インテル、美団(Meituan)などの元幹部で、ロボットや飲食業、IT産業などで多年にわたる起業や実務の経験を有している。
(翻訳・畠中裕子)

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