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大手スマホメーカー、シャオミ(小米科技)がまたしても窮地に陥っている。
前にスマートフォンの出荷量が減少した際には、シャオミは販売チャネルの増設やサプライチェーンの見直し、海外市場の拡大で乗り切った。そして2018年7月に上場にこぎ着けた。今回は証券会社による格下げ、機関投資家の持ち株放出やロールオーバー、株価の低迷など、シャオミが立ち向かわなければならないのは主に資本市場だ。
スマートフォン市場は成熟化
2017から2018年にかけて、中国ではフィーチャーフォンからスマートフォンへの買い替え特需が完全に消滅し、これを機にスマートフォンは成熟市場に転換。出荷量が減少した。さらに、マクロ経済の低迷も市場が成長する阻害要因になっている。
2018年にはローエンド〜ミドルレンジのスマートフォン市場に参入するメーカーはますます増えた。今やシャオミのライバルはファーウェイの「栄耀(honor)」だけでなく、OPPOの「K1」、vivoの 「Z1/Z3」などの後期参入モデルも競合相手だ。2018年の結果を見ると、シャオミはすでにOV(OPPO・vivo)の後塵を拝している。
2018年は中国スマホメーカーの技術革新が爆発的に進んだ年だった。各社が全画面ディスプレイの開発に邁進するなかで、OPPO、vivoはスライド式、ホール式、デュアルディスプレイなど様々なアイディアを出し、「GPU Turbo」、「TOFカメラ」などの新技術も投入した。
2019年もハイエンドスマートフォン市場の技術競争は続くだろうが、シャオミは追う側になってしまった。シャオミの林斌総裁は最近、自身の微博(Weibo)内で「広範囲指紋認証」「三つ折り式スマホ」などのデモンストレーションを行って、シャオミの新技術をアピールしている。
シャオミは主力ブランド「紅米(Redmi)」を独立させたことで、2019年は試練の年となるだろう。ファーウェイの「栄耀(honor)」を始め、OPPO、vivo、魅族(Meizu)、レノボなど新旧ライバルの攻撃に対して市場シェアを死守し、さらに拡大できるのか。コストパフォーマンスの呪縛から脱却しつつあるシャオミのスマートフォンは技術革新してハイエンドモデル市場で存在感を見せることができるのだろうか。
シャオミTVの成功は活かせるか
一方で、IoT分野は新しい原動力になるとみられている。シャオミのCEO雷軍氏は年次総会で「2019年は『スマホ+AI+IoT』を始動し、今後5年でAI+IoT分野に100億元(約1600億円)を投入する」と宣言した。
シャオミのIoT事業で目下最大のモチベーションとなっているのは、シャオミTVの成功だ。まずコストパフォーマンスが高い製品で市場に切り込み、国内市場で安定したシェアを獲得してからインドなどの海外新興市場に展開していくという、スマートフォンと同じコストパフォーマンス重視路線だ。
2019年にはシャオミはさらに多くの大型家電製品でシャオミTVの成功モデルを踏襲したいと考えている。しかし、シャオミのスマートフォンとTVが成功したのは、「フィーチャーフォン」から「スマートフォン」、「従来のカラーTV」から「スマートTV」へ転換する流れがあったからだ。
エアコン、洗濯機、冷蔵庫などはスマート化への転換期をまだ迎えていない。これはシャオミにとってチャンスであると同時に挑戦でもある。
しかし、スマート家電市場に目をつけているのはシャオミだけではない。
大手家電メーカー「格力(GREE)」、「美的(Midea)」、「ハイアール」、「海信(Hisense)」などもシェアを奪おうと動き出している。さらに、IoT市場の潜在的な魅力に引き付けられて、ファーウェイ、OPPO、vivoなどの門外漢も参入し始めた。
従来の家電市場は勢力構造が固定しているが、スマート家電競争は始まったばかりで、誰が勝者となるのかは未知数である。
シャオミのライバルにとっても厳冬期であることは間違いないが、シャオミは事業が多くの分野にまたがっており、かつ密接につながっていることから競合他社に比べるとプレッシャーははるかに大きい。
シャオミの株価は2018年7月18日に記録した22.2香港ドル(約307円)の最高値から、2019年1月10日には最低値の9.44香港ドル(約130円)に下落、時価総額は6割減となった。雷軍氏、周受資氏が株式の譲渡制限期間の延長を承認したのち、シャオミはついに資金を使って株価への信用を取り戻そうとし始めた。しかし株式の買戻しではなく、業績でより良い結果を出さなければならないだろう。
(翻訳者:山口幸子)
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