急降下の中古車EC市場、中国の「CarMax」はどこか?

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中国で順調な成長を続けていた中古車取引が、2018年後半から停滞してきている。中国自動車流通協会(CADA)によると、中国の中古車取引件数は2017年には19.33%の伸び率だったが、2018年は11.46%にまで減速した。取引台数1300万台、市場規模1兆元(約16兆円)との数字を見れば活況に見えるが、各業者は厳しい生存競争を強いられている。

中古車取引プラットフォームを運営する「優信集団(UXIN GROUP)」はアメリカで上場後半年で、時価総額が3分の1にまで落ち込んだ。自動車金融プラットフォームなどを運営する「易鑫集団(YIXIN GROUP)」は2017年末に香港で上場したが、2018年には時価総額が4分の1にまで目減りした。同社は結果的に、中古車取引事業をスピンアウトさせた。

上場企業2社の不振は投資家離れを招き、業界全体の資金難につながった。また、中小業者の淘汰が進み、一部のトップ企業に経営資源が集中している。

昨年、自動車取引プラットフォームを運営する「大搜車汽車服務(Souche)」は最新ラウンドで5億7800万ドル(約630億円)を調達して、業界内で大々的に企業買収を進めた。物流マッチングプラットフォーム「運車管家(iyunche.com)」や、ディーラー向けERPシステムを手がける「布雷克索(BreakThrough)」を買収したほか、中古車取引の「車易拍(Cheyipai)」を合併して、B2B取引プラットフォームも確保した。また、ソフトウェア大手「金蝶集団(Kingdee)」傘下で自動車企業向けERPシステムなどを提供する「金蝶汽車網絡科技(Kingdee Automotive Network Technology)」に出資し、同社のSaaSシステムも取り込んだ。

自動車販売を手がける「車好多集団(Chehaoduo)」も昨年、傘下の中古車ECプラットフォーム「瓜子二手車(Guazi)」と新車取引プラットフォーム「毛豆新車(Maodou)」で合わせて10億ドル(約1100億円)を調達した。うち、瓜子二手車の調達額は8億8000万ドル(約970億円)だ。瓜子二手車は2018年、中間業者を省き売り手と買い手をダイレクトにつなぐC2Cモデルを構築して、実店舗運営にまで乗り出した。取引価格はビッグデータを活用して決めるシステムだ。瓜子二手車に追随するように、易鑫集団や「人人車(RenRenChe)」も実店舗の試験営業に乗り出した。

2019年、中古車EC業界の競争はさらに激化していくとみられる。中古車ECはそもそも純粋なオンライン事業なのか、あるいはオフラインも絡んでくるのか。在庫はECが管理するのか。中古車ECは既存の自動車販売業者を支援するのか、あるいは駆逐するのか。さまざまな問題を巡り、各社は差別化戦略を推進するだろう。

中古車取引市場に第二の「CarMax」は誕生するのか?

2019年の中古車取引市場における最大の注目ポイントは、オンライン(EC)からオフライン(実店舗)へシフトして各地で店舗網を拡大している瓜子二手車が、「中国のCarMax(編註:米国最大手の中古車販売会社)」になれるのかという点だ。

昨年、瓜子二手車は全国各地に100万平方メートル規模の大型店を次々と出店した。売場面積だけで言えば、ウォルマートやカルフールをすでに超えて中国最大規模の小売企業となった。2019年は瓜子二手車が競合他社に圧倒的な差をつけて業界トップに立つか、あるいは資金繰りが続かないか、二つに一つといった様相だ。

店舗を設ければ、金融やメンテナンスなどを含めて、取引の全プロセスを掌握できるという。これは、中古車取引の世界最大手で時価総額約100億ドル(約1兆1000億円)のCarMaxが証明済みだ。ただし、オンラインからオフラインへの移行で重い資産を抱えることになるので、IT業界出身の経営陣の手腕が試されることになる。瓜子二手車はビッグデータを活用して価格を設定しているため、アルゴリズムのアップデートにも相応の資金が必要だ。

2018年には新車の保有台数も頭打ちとなり、販売台数の伸びにも陰りが見えてきた。2019年はさらに厳しさを増すだろう。メーカーやディーラーが在庫を圧縮するために値下げに踏み切る可能性も否定できない。そうなれば、中古車市場も直接的な影響を受け、プラットフォームには在庫のプレッシャーがかかる。瓜子二手車がこうした試練に耐えられるか、2019年は重要な年になりそうだ。

どのビジネスモデルが生き残るか

中古車取引はもともとオフライン事業だ。在庫の多くは各地の中小ディーラーが持つ。こうしたディーラーの在庫車両は状態が不透明で、中には非正規ディーラーも存在する。さらに、各ディーラーが全国各地に分散している状況だ。

近年、次々と創業された中古車ECは従来型の取引過程を改善しようと努めてきた。売り手と買い手を直接つなぐC2Cモデルを最初に確立した瓜子二手車は、実店舗での販売に進出した。優信集団傘下の「優信二手車(xin.com)」は中古車のB2Bオークション事業からスタートして、現在は販売店と消費者をつなぐB2Cモデルに落ち着いた。全国規模の取引モデルを提供して、自動車金融サービスも手がけている。大搜車汽車服務はSaaS運営から市場に参入して、新車・中古車の双方を扱っている。

優信集団創業者の戴琨氏は、中古車事業の核心は「品揃え」であり、それは顧客に多様な選択肢を与えることだと指摘する。同社は全ての在庫車両をネット上に展示、顧客は希望する車両を全国から選べる。物流体制を整えて顧客へ直接中古車を輸送するので、中間業者のマージンが上乗せされることがない。中古車取引における都市間移動制限の撤廃も追い風となり、2019年は地域を越えた中古車の流通がさらに進むだろう。中古車販売が完全にオンライン化して、顧客は実車を見ることなく買うようになるか。戴琨氏は「賭けてもいい」と自信を見せる。

広告合戦は休戦状態に

2019年、資金調達はより困難になるだろう。これまで採算を度外視して事業を拡大してきた企業にとっては苦しい局面が訪れる。限りある経営資源は一部のトップ企業に集中して、それ以外の企業は資金難や倒産に至る可能性もある。成功した企業と言えども、気は抜けない。2018年には「車王二手車(CAR KING USED CAR SUPERMALL)」が事業清算の危機に立たされ、人人車は大規模な人員削減と数十都市からの事業撤退を余儀なくされた。

業界をあげて市場を活性化し、資金調達や支出節減に努め、期限を設けて黒字転換する必要がある。過去数年、中古車EC各大手は広告に多額の予算を投じてきたが、これも当面は棚上げになるだろう。中でも、瓜子二手車、優信二手車、人人車の3社は10億元(約160億円)をマーケティングに費やしてきた。広告露出が減れば当然、売り上げにも影響する。「資金調達の冬」とされる現況下、調達に成功した企業が一気にのし上がることは間違いない。

大搜車汽車服務はアリババやアント・フィナンシャル(螞蟻金服)の出資を、人人車や優信集団はテンセントの出資を、それぞれ受けてきた。昨年、テンセントはさらに瓜子二手車にも出資し、一方のアリババは優信集団と事業提携した。出資者側も、今年は明確な出資戦略を打ち出すのではないか。
(翻訳・愛玉)

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