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中国発アパレルEC「SHEIN」の評価額が1000億ドル(約12兆3700億円)に達したことが米ブルームバーグの報道で分かった。10億ドル(約1240億円)の調達に向け、米投資会社ジェネラル・アトランティックなどの出資者候補と協議中だという。
中国の民間シンクタンク胡潤研究院による民間企業ランキング「2021胡潤中国500強(Hurun China 500 Most Valuable Private Companies 2021)」によれば、評価額1000億ドルを超える未上場企業、いわゆる「ヘクトコーン企業」は、中国ではTikTok運営元のバイトダンス(字節跳動)とアリババ系フィンテック企業アント・グループ(螞蟻集団)の2社のみで、バイトダンスの直近の評価額は2兆3000億元(約44兆7000億円)だ。
報道について36KrはSHEINに取材したが、コメントは出さないとのことだった。また、今回の資金調達は一度断念した上場を再度目指すためかとの問いには「過去に説明した通り、上場計画はない」との回答だった。
今回名前の挙がったジェネラル・アトランティックは、子供服のDTC(消費者との直接取引)ブランド「PatPat」が昨年7月に5億1000万ドル(約630億円)を調達したシリーズCおよびシリーズDでも出資している。PatPatも評価額30億ドル(約3700億円)で米国市場あるいは香港市場に上場を検討しているとこのほど報じられた。
SHEINの評価額はPatPatとは比較にならないほど高く、欧米のライバル企業H&MとZARAの時価総額合計820億ドル(約10兆1400億円)も、米新興スポーツウェアブランドのルルレモン(lululemon)の時価総額463億ドル(約5兆7300億円)も超える規模だ。
SHEINのこれまでの評価額の推移を振り返ってみると、販売額がスケールアップするごとに評価額が上昇している。SHEINは「超ハイコスパ」を武器に、フェイスブックやグーグルなどに広告を打つことでグローバル市場でのシェアを高めてきた。
2013年にはシリーズAでジャフコ子会社のJAFCO Asia(集富亜洲)から500万ドル(約6億円)を調達。それまでの1年間の販売額は4000万元(約8億円)だった。十分なキャッシュを得たSHEINは、14年には当時のライバルだった英「ROMWE」を買収。サプライチェーンをアパレル工場集積地の広州市に移し、欧米エリアに倉庫を持つようになった。
15年にはシリーズBでIDGキャピタルと景林投資(Greenwoods Investment)から3億元(約60億円)を調達。同年、モバイル端末向けサイトを整備し、米「MakeMeChic」を買収して北米市場を固め、米国にカスタマーセンターを設立した。17年になるとSHEINの販売額は100億元(約1900億円)を突破した。
18年にはシリーズCでセコイア・キャピタル・チャイナなどから資金を調達。初公開した評価額は25億ドル(約3100億円)だった。
19年の売上高は190億元(約3700億円)に達した。同年、シリーズDでセコイア・キャピタル・チャイナやタイガー・グローバルなどから5億ドル(約620億円)を調達、評価額は50億ドル(約6200億円)となった。
20年8月にはシリーズEで資金調達を実施。米調査会社CB Insightsのデータによると、評価額は150億ドル(約1兆8600億円)に達した。中国の証券会社・国金証券(Sinolink Securities)の計算によると、SHEINの商品平均単価は10〜20ドル(約1200〜2400円)で、20年の売上高は110億ドル(約1兆3600億円)、21年の売上高は推計160億ドル(約1兆9800億円)となっている。米経済誌フォーブスは21年6月、SHEINの直近の評価額が470億ドル(約5兆8100億円)に達した可能性を報じた。
10カ月後の現在、評価額はさらに倍増。SHEINはヘクトコーン企業として中国の越境EC企業のトップに立ち、誰もが認めるテック企業に成長し、設立10年で世界の150カ国以上で商品を販売するようになった。しかしその華やかさの裏には株主構成の激しい変化と、マスコミの取材を受けず依然として神秘のベールに包まれた創業者クリス・シュー(許仰天)氏の存在がある。
(翻訳・山下にか)
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