電子機器「アンカー」、21年売上高が2500億円突破。アマゾン以外の販売チャネル多角化が進む

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スマートフォン周辺機器で知られる電子機器メーカーの「アンカー・イノベーションズ・テクノロジー(Anker=安克創新科技)」(以下、アンカー)は4月11日、2021年度決算を発表した。売上高は前年比34.45%増の125億7400万元(約2500億円)と初めて100億元(約2000億円)の大台を突破した。

多くの越境EC業者にとって2021年は困難な年だった。販売面ではアマゾンが中国の越境EC業者のアカウントを大量閉鎖した影響で多くが店じまいを迫られたほか、輸送費が商品原価の3割から5割まで膨らむなど物流コストの高止まりや上昇にも苦しんだ。マーケティング面でも、アクセス数を巡る過度な競争で顧客獲得コストが年々上昇しており、越境ECは以前のように気軽に参入できるものではなくなっている。

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こうした問題の影響はアンカーにも及んでいる。また、主力製品が消費者向け電子機器であるため、世界的な「半導体不足」や原材料価格の高騰が深刻化するにつれ、より多くの困難に直面している。

アンカーの2021年度の増収率は34.45%だが、2020年度の40.54%から大幅に減速した。営業外損益控除後の純利益は前年比2.69%減の7億700万元(141億円)とマイナス成長となった。

2021年度の財務報告によると、海外市場の売上高は121億5400万元(約2420億円)だが、営業費用(入荷前の輸送費用及び直接販売費用を含む)は前年比51.14%増加した。売上総利益率(粗利益率)は35.97%となり、粗利益は前年比8.12%減少した。

2021年度の調達費用と輸送費用を見ると、調達費用は前年比40.46%増加、輸送費用は同49.8%増加した。

業界全体が直面する原材料不足という厳しい環境下でも増収を続ける背景には、既存事業の安定に加えて同社が進める事業の改善がある。

第一に、アンカーは2021年に中国本土市場での事業を強化し、アマゾン以外の販売チャネル開拓にも成功した。第二に、製品を多角化させ、主力製品である充電関連製品への依存度低下も進んだ。

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2021年度の中国市場の売上高は、前年比194%増の4億1900万元(約83億円)と急拡大した。2021年上半期に投入した旗艦モデルのBluetooth対応ワイヤレスイヤホン「SoundcoreLiberty Air 2 Pro」は、国内発売の初週にアリババ集団傘下の電子商取引(EC)モール「天猫(Tmall)」のヘッドセットカテゴリで販売数トップ3入りしている。

国内市場の好調に加えアマゾン以外のオンライン販売チャネルの開拓も順調に進み、財務報告ではアリエクスプレス(AliExpress、全球速売通)、eBay(イーベイ)、Tmall、京東(JD.com)などの名も挙がっている。外部プラットフォームでの売上高(アマゾンプラットフォームを除く)は92.47%増加したほか、自社プラットフォームの売上高は83.57%増加し、売上高全体に占める割合は3.13%と一段と高まった。オンラインチャネルの多様化に伴い、アマゾン経由の売上高が同社総売上高に占める割合は7%低下している。

オフラインの売上高が前年比53.33%増加するなど、オフライン事業でも成果が出ている。中でも、ウォルマート、ベストバイ、ターゲット、コストコなど世界的に有名な北米のスーパーマーケットチェーンや日本のセブン-イレブン・ジャパンのほか、ヨーロッパ、オーストラリア、東南アジア、南米等の国家や地域でも一定の進展があった。

引き続き多角的な事業をバランス良く発展させている。充電製品の売上高が売上高全体に占める割合は44%と前期とほぼ同水準だったほか、スマートホーム製品などインテリジェントイノベーション関連が同32.63%、ワイヤレスオーディオ関連製品も同22.68%と前期とほぼ同水準であり、消費者向け電子機器のプラットフォーム企業としてのあり方が明確になった。

(翻訳・大沢みゆき)

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