「滴滴出行(DiDi)」が南米に進出、Uberの牙城に挑戦

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中国の配車アプリ最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」が、南米の新たな市場に進出することがわかった。

同社はラテンアメリカで急成長しているチリ、ペルー、コロンビアで幹部候補の人材を募集している。すでに中国から市場開拓担当の幹部スタッフを現地に派遣しており、今後数週間のうちにドライバー管理、危機管理、マーケティング、事業開発などの人材募集広告も開始する。

これは同社にとって、ブラジルとメキシコに続くラテンアメリカ戦略の第3段階だ。

昨年1月、滴滴はブラジルの配車サービス大手「99」を買収したほか、4月にはメキシコのトルーカで配車サービスを開始。アジア以外の地域では初めての海外展開だ。11月末にはメキシコシティにも進出すると発表。同市は競合の米Uberにとって第2の市場だ。滴滴がUberの中国事業を買収してから2年余りを経て、両社は再びラテンアメリカ市場で対決することになった。

これまでの両社の競争は滴滴が優勢だ。 2016年8月、Uberは中国における資産と事業を滴滴に売却して中国から撤退。2018年3月には、東南アジアの全事業を地元の競合相手だった「Grab」に売却して、東南アジア市場からも撤退した。そのGrabには滴滴が投資している。

滴滴の事業拡大に関して、ロイター通信は「滴滴の進出が成功すれば、Uberのラテンアメリカ事業に影響を与えるだろう」としている。今年上場を予定しているUberにとって、ラテンアメリカは最も成長している市場の1つだ。

現在、滴滴はチリの地場企業から幹部人材を発掘しようとしている。チリの同社広報部長フェリペ・コントレラス氏は、ラテンアメリカへの進出計画について認め、すでにチリの移動体通信事業者「WOM」出身の上級管理職を採用したと述べた。主に政府との交渉や公共政策の運営を担当するという。コントレラス氏は以前、Uberチリの企業広報責任者を務めていた。

滴滴はブラジルとメキシコに進出した際に、Uberより高い報酬とボーナスで多くのドライバーを集めた。また、安全面での差別化も同社の強みだ。昨年の登録ドライバーによる乗客殺人事件を契機に、緊急連絡先の登録や車内録音などセキュリティ対策を強化したからだ。テクノロジー系メディア「WIRED」は、Uberと滴滴のセキュリティ対策を比較分析した結果、滴滴はより安全性を重視しており、これが海外市場における滴滴の優位性となるとしている。

滴滴の目標は各地の市場のリーダーになることだという。しかし、海外市場でのライバルはUberだけではない。チリにはすでにスペインの「Cabify」やギリシャの「BEAT」が進出して一定のシェアを占めている。

また、現地の法律や政策というハードルもある。チリではまだタクシーアプリに関する法律が整備されておらず、Uber、Cabify、BEATは法的にはグレーゾーンにある。法案は未だ審議中で、チリの元老院(上院)と代議院(下院)で可決されるまでには1年ほどかかるとみられる。

コントレラス氏によれば、サービス開始時期はまだ検討中とのことだ。「我々はまだ計画と人材採用の段階にあるが、ラテンアメリカへの進出は法律の採択にかかっているわけではない。さまざまな変動要因について検討している」と述べた。
(翻訳・神江乃緒)

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