中国電動二輪「HORWIN」、欧州市場で奮闘 電池材料にニオブ活用で成長狙う

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中国の電動二輪車メーカーが欧州市場で存在感を増している。シェアトップで米ナスダック上場の電動スクーター大手、小牛電動(Niu Technologies、NIU)に続き、今最も注目されているのが、江蘇浩万智能科技(HORWIN、ホーウィン)だ。隠れた実力派ともいえる同社は、リチウムイオン電池材料としてレアメタル(希少金属)の一種である二オブ(Nb)の活用を模索するなど、今後の成長が期待されている。

HORWINは2016年に江蘇省常州市で設立。通勤などを想定した電動スクーター(EKシリーズとSKシリーズ)とレジャー・バイク愛好者向けの電動バイク(CRシリーズ)が主力製品だ。小売価格は3000~7000ユーロ(約40万7000~94万9000円)で、中高級路線を取る。

19年にイタリア・ミラノで最初の製品である電動バイク「CR6」の欧州販売開始を発表した。CR6の最高時速は95キロ、フル充電時の最大航続距離は150キロで、同年の受注(金額ベース)は7000万元(約13億6800万円)超に達した。20~21年にも新製品を投入し、21年末時点の累計販売台数は3万台超を記録。年商1億元(約19億6000万円)を突破した。36Krが調べたところ、単独資本でこれほどの実績を上げている中国企業はHORWINだけだ。

(HORWIN・CR6シリーズの電動バイク)

国内市場は飽和、海外に熱視線

中国の二輪車市場は今、大きな変革期を迎えている。背景にあるのが、習近平指導部が掲げる2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、60年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)を実現するという「双碳(ダブルカーボン)」目標や、環境保護意識の向上、新たな消費行動を意味する「消費のアップグレード」機運の高まりだ。自動車産業全体の電動化・スマート化を受け、二輪車産業も同様の変革を求められていることも大きい。

さらに、こうした状況に加え、中国内のミドル・ローエンド(中低機能・価格帯)電動二輪車市場は既に飽和状態にあることから、多くの企業が海外市場の開拓に目を向け始めている。

中国方正証券のまとめによると、自転車・オートバイ産業の国内販売と輸出の比率は現在、それぞれ80%、40%。電動二輪車の輸出は10%未満にとどまっており、「海外市場の開拓余地が大きい」と分析する。今後については「6割の国内オートバイの駆動システムがガソリンから電動に切り替わる」と予想。これに伴い、海外市場での販売規模は1620億元(約3兆1600億円)に達すると試算した。

一方、HORWINは、欧州のブランド影響力ランキングでトップ3に入るなど、高い評価を得ている。秘密はブランドマーケティング戦略と高い技術力だ。中国内のユーザーは、二輪車を日常生活の軽快な足として利用する人が大半だが、欧州市場のユーザーは「ハイテク製品を体験したい」という気持ちが強い。同社はこの傾向をうまく捉えた。

主力製品の多くに、前後輪が連動するコンビブレーキシステム(CBS)や電池管理システム、LEDヘッドライトを標準装備している。また量産化に当たって、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)方式を採用してきたが、今年に入り、自社工場で中核部品の生産と完成車の組み立てを始めた。

ニオブの電池活用、東芝などと協力

HORWINが近年特に力を入れているのが、二オブの酸化物を負極材として活用する次世代リチウムイオン電池事業だ。ニオブは鉄鋼添加材で、剛性を高める性質がある。ニオブ活用のリチウムイオン電池が同社製品に搭載されれば、電動二輪車としては世界初となる見通し。

同社のブラジル子会社と同国ニオブ生産・精製世界最大手のCBMM、東芝が19年に電動二輪車向けのニオブ活用リチウムイオン電池開発で提携し、共同で事業を進めている。CBMMがニオブの鉱山資源と関連技術の提供を、東芝が電池セルの生産を、HORWINはニオブ利用のリチウムイオン電池技術などの研究開発や量産化を担う。

ニオブを負極材に加えることで、電池の電気伝導度と安定性が大幅に向上するほか、超急速充電器での充電や自動車用充電器などとの共有が可能となる。従来はフル充電に4~6時間必要だが、ニオブ活用リチウムイオン電池を使えば、約10分で済むという。

(HORWIN、CBMM、東芝の3社が共同開発する二オブ活用のリチウムイオン電池)

中国の電動二輪車は鉛電池やリチウムイオン電池の利用が主流だが、高い電池コストに悩まされてきた。エネルギー密度が高く、環境負荷の小さいリチウムイオン電池が広く使われるようになってはいるものの、電極自体の劣化(容量減少)による性能低下などなお課題は多い。HORWINも主力製品に搭載しているのはリチウムイオン電池だ。

一方、ニオブ活用のリチウムイオン電池は、コストや小売価格が一般のリチウムイオン電池に比べ25〜30%高くなるものの、耐久性や安定性、電池寿命が飛躍的に改善されるとみられている。

HORWINによると、同社が設計・開発を主導したニオブ活用のリチウムイオン電池は既に前期実証実験などを終えている。初の量産体制をブラジルで整え、24年をめどに同国市場に同電池搭載の電動二輪車を先行投入する計画だ。

(36Kr Japan編集部)

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