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独自技術を用いた高精度の顔面4Dスキャンなどを手がける「影眸科技(Deemos Technologies)」がプレシリーズAで数千万元(数億円)を調達したことがわかった。「セコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンド(紅杉中国種子基金)」が出資を主導し、既存株主の「奇績創壇(MiraclePlus)」も出資した。今回調達した資金は人材採用とバーチャルヒューマンの基盤技術の開発や実用化などに充てられる。
影眸科技は上海科技大学のインキュベーションプログラムから誕生した会社だ。創業メンバーは同大学でマイクロメートルレベルでの顔面をスキャンできるシステム「Plenoptic Stage」を開発。同システムは超高精度・超高スピードで動態スキャンを実行したり、表情が変化する際の筋肉の動きをとらえたりできる。創業メンバーはPlenoptic Stage技術の知的財産権を取得し、2020年に同社を設立した。
創業者の呉迪氏によると、同社は全プロセスが自動化されたデジタル顔画像生成システムを開発しているという。同システムはAI、コンピュテーショナルフォトグラフィ(計算写真学)、コンピューターグラフィックスなどの技術を組み合わせ、顔面をマイクロメートルレベルでスキャンすることにより、皮膚の微細構造レベルにまで達する精密な立体形状や質感までを表現する。この分野では世界でもトップレベルだ。
同社が開発した次世代バーチャルヒューマン技術は従来の技術に比べて時間とコストの面で目覚ましい進歩を遂げ、バーチャル世界と現実を一気に近づけた。「これまでは多くの人手や数百万元(数千万円)の費用、数カ月におよぶ作業が必要だったが今では10分の1のコストと数日の作業で、より精度の高い顔面模型ができる。映画・テレビやゲーム、バーチャルリアリティなど巨大なエンターテインメント市場のニーズに応えられる」と呉氏は話す。
影眸科技は昨年末から対外的にも事業を始め、現在すでに数社のメタバース企業と提携しているほか、数十社の映像、ゲーム、マーケティング関連企業に対し各社のニーズに合わせた顔面スキャンのソリューションを提供している。同社の張啓煊CTOは「市場がすでに我々の技術の強みを証明している。今後は新技術でバーチャルヒューマンを全てのユーザーの手の届くものにしていきたい」と話した。
呉氏によると、同社のデータベースやAIグラフィックアルゴリズムを利用すればユーザーは数枚の自撮り写真だけで自分だけの3Dバーチャル画像を作成できるという。
メタバースによって、将来的にオンラインでのソーシャル体験はまったく新しいものとなるだろう。AR(拡張現実)・VR(仮想現実)デバイスの普及に伴い、二次元の写真やバーチャルイメージではユーザーのニーズに応えられなくなる。「今後はユーザーが簡単に作成できるうえに、アプリやプラットフォームごとに異なる表現スタイルにも対応できる3Dバーチャルイメージが基本的なニーズとなる。またこの3DバーチャルイメージがメタバースにおけるデジタルIDシステムの中心的なインフラともなるはずだ。影眸科技はAIを利用し、このニーズを満たせるようにしていく」と呉氏は話した。
このほか影眸科技はバーチャルヒューマンの利用シーンをさらに拡充し、SaaSを基本として市場への影響力を拡大していくという。また、メタバースでの応用へさらなる精力を注ぎ、独自のIDシステムを構築していく。メタバースを利用するユーザー1人1人にオリジナルのバーチャルイメージを提供すると同時にオンラインでの対面交流プラットフォームを構築し、バーチャルリアリティの技術を多くの消費者に利用してもらいたいとしている。
(翻訳・山口幸子)
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