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司法現場向けVR開発企業「源極科技(Yuanji Technology)」が台湾のモバイル端末メーカーHTCから出資を受け、同社が主催するAR/VR関連スタートアップ支援プログラム「Vive X」の参加企業に選ばれた。
2018年に設立された源極科技は、VR、AR技術の司法現場導入を目指す企業だ。同社の製品には、VRを用いた犯行現場復元システムや法教育のインタラクティブプラットフォームがあり、主に司法現場と法教育普及に活用されている。
VR犯行現場復元システム
従来の審理では、犯行現場における争点は主に写真や文字、口頭陳述などで再現される。事実整理や証拠の提示には大量の時間と労力を要し、膨大な案件を扱う司法システムにとって大きな負担となっていた。
VRを使って犯行現場を復元する源極科技のシステムでは、一人称視点を採用したことで、検察官や証人、裁判官などが犯行当時の現場に居合わせたかのように事件を直観的に判断することができる。これにより、審理が平均一審で終了するようになり、上級審のコストを削減することができるようになった。
現在、同システムは法廷ですでに活用され始めている。2018年3月、北京市第一中級人民法院で行われたある殺人事件の審理では、VRゴーグルをつけた証人が出廷。犯行現場復元システムを使って現場に「戻り」、検察官や裁判官らに事件を多角的に示して、確実な証拠を提出した。
インタラクティブな法教育製品
国民に広く法知識を普及させることも、司法の重要な仕事の一つだ。近年、法教育の刷新に関連した政策が打ち出されたことで、新しい法教育の形態およびインタラクティブ化等に対するニーズが生まれている。源極科技のインタラクティブ製品はリアルタイムモーションキャプチャなどの技術を使い、専門的な法教育コンテンツと組み合わせて、「ハードウェア+コンテンツ」の新しい法律普及ソリューションを提供している。
リアルタイムモーションキャプチャは人体骨格のアルゴリズムにより、3D計測用カメラ6台で全身の動作を検出し、バーチャルキャラクターを動かすものだ。ニューラルネットワークを採用したことで映像をリアルタイムで動作させることが可能になり、ディープラーニングアルゴリズムにより、さまざまな言語や音声をキャラクターの口元や表情に反映できるようになっている。
技術面だけでなく、コンテンツの制作においても成功を収めている。司法体系についての認知を推進する教育映画「萌娃対話検察官(検察官に聞いてみよう)」は、視聴回数が1億回に上った。
同製品は主に司法機関の調達ルートで政府向けに販売されており、平均客単価は数十万~100万元(数百万~約1670万円)。2019年には、年間成約額が1000万元(約1億6700万円)に達すると見込まれている。
統計によれば、全国には公安機関、検察機関、裁判所がそれぞれ3665カ所、合計で1万995カ所あるという。客単価を100万元とすると、市場は100億元(約1670億円)規模になる。今後、法教育関連製品を幼稚園から大学まで普及させることを考えると、巨大市場であるといえるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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