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米クレジットカード大手マスターカードが、中国のオンライン決済プラットフォーム「網聯(NUCC)」と共同で、中国国内にカード決済会社を設立する可能性が浮上したと、中国の経済紙「21世紀経済報道(21st Century Business Herald)」が報じた。
中国人民銀行(中央銀行)は昨年6月、第三者決済機関がこれまで銀行と直接取引してきたオンライン決済業務について、日本の全銀ネットに相当する「網聯」を経由するよう義務付けている。
網聯は事実上、テンセント(騰訊)の「財付通(Tenpay)」やアリババの「支付宝(アリペイ)」などオンライン決済サービスの監督役であり、オフライン決済は銀行で構成される「銀聯(UnionPay)」が統括している。網聯は銀聯と同じ決済資格を持ち、オンラインとオフラインで市場のすみ分けを図る形になった。
IT調査会社「易観(analysys)」のレポートによると、中国における第三者モバイル決済の総取引額は、2017年に109兆元(約1800兆円)に達した。同年の銀行カードでの総取引額762兆元(約1京2500兆円)と単純に比較することはできないが、その成長は軽視できない。
これまで、外資系の決済機関が中国の消費者にクレジットカードを提供するには、銀聯との相互承認による自社と銀聯のダブルブランドとして発行するしかなかった。また、決済業務は銀聯のシステムを利用することが義務付けられていた。しかし、銀聯と外資系決済機関との競争の激化により、ダブルブランドカードは海外で使えないケースが多くなっていた。
2014年、中国はカード決済市場を外資系決済機関に開放することを決定し、2015年以降、カード決済事業に関する政策や規制が相次いで発表された。それらは外資単独ブランドのクレジットカードを許容する方向だったが、その詳細な規定については明確ではなかった。
合弁会社はマスターカードが株式の51%、網聯が49%を保有するとのことだが、双方50%ずつという情報もある。昨年11月には、アメリカン・エキスプレスが中国国内で合弁会社「連通公司(Express Company)」を設立し、中国人民銀行と銀行保険監督管理委員会から決済業務の免許を取得したが、同社におけるアメックスの持株比率は50%だという。
連通公司は、実際の運用までにまだ1年の準備期間が必要だとしている。同様に、マスターカードと網聯の合弁会社が承認されたとしても、マスターカード単独ブランドのカードが登場するまではさらに1年以上待つことになるだろう。しかし、手数料収入を失う銀聯にとっては歓迎すべき流れではなさそうだ。
(翻訳・神江乃緒)
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