原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
中国の旅行業界では旧正月(春節)の大型連休がかき入れ時だが、今年の旧正月旅行市場は不振だったという。国家文化・観光部によると、同期間中の旅行客数はのべ4億1500万人で前年比7.6%増にとどまり、前年の約12%増より失速した。国内の観光収入は前年比8.2%増の5139億元(約8兆5000億円)だったが、過去10年で伸び率が一ケタ台にとどまったのは初めて。
航空路線や鉄道の利用客数も同様に不振であった。客数伸び率は航空路線が5.5%減、鉄道が4.4%減だった。
旧正月に並ぶ大型連休、国慶節(10月の建国記念日)も不振だった。2018年の国慶節連休は、旅行客数の伸び率が2008年以来最低値を記録している。
中国の景気後退の影響で、旅行業界も全般に業績が落ちている。中でも大手オンライン旅行代理店(OTA)「携程旅行網(シートリップ、Trip.com)」は逆風にさらされている。昨年第3四半期には赤字に転じ、非GAAPベースの営業利益率が同四半期の20%から第4四半期には0~1%にまで落ち込む見通し。11月の決算発表当日、シートリップの株価は19%下落している。
2017年、民用航空局(CAAC)が航空券の抱き合わせ販売を禁止したのも、シートリップの収益性を悪化させた。同年第3四半期から売上総利益率は下降に転じている。
国内旅行市場は2005年以来最大の不振だったが、海外旅行は成長が続いている。今年の旧正月期間、国内旅行の伸び率は2005年以来最低となった一方で海外旅行の伸び率は16%増を維持した。また複数の大手旅行会社のデータによると、海外旅行費用は10%ほど増加している。
傘下の航空券価格比較サイト「スカイスキャナー」や、オンライン予約サイト「Trip.com(シートリップのグローバル版)」の貢献もあり、シートリップにとっては海外事業が収益を大きく支える存在になっている。2018年、同社の海外事業の売上高は事業全体の25~33%を占め、2億人を数える月間アクティブユーザーのうち9000万人を海外旅行のユーザーが占めている。また、航空券の販売手数料率は国際線が国内線の2倍となっている反面、国内線の航空券は各航空会社が代理店を通さず直接販売する方針に転換しており、旅行代理店にとってはうま味がなくなっているという。
海外事業はシートリップにとって新しいシナリオだが、どの業界でも国際市場には手強いライバルが存在する。シートリップは世界最大のOTA・Booking.comをはじめとする競合と争っていくことになる。
(翻訳・愛玉)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録