「アフリカの携帯電話王」中国トランシオン、成長鈍化でその他新興市場に活路

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携帯電話メーカー「伝音控股(Transsion、トランシオン)」が、2021年通期と2022年第1四半期(1〜3月期)の決算を発表した。

年次報告書によると、21年の売上高は前年比30.75%増の494億1200万元(約9400億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は同45.52%増の39億900万元(約740億円)だった。21年の業績は好調だったが、22年になると半導体不足や新型コロナなどの影響を受け業績が低下する。22年第1四半期の売上高は前年同期比1.75%減の110億5500万元(約2100億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は同0.70%減の7億9600万元(約150億円)だった。

売上総利益率は21年が21.30%で前年より4.44ポイント悪化し、22年第1四半期は21.43%で同2.02ポイント低下した。売上総利益率の低下は主に、近年販売地域の構成が著しく変化したためだ。

トランシオンの2017~21年地域別業績の変化 wind、36Krまとめ

メインのアフリカ市場は伸び悩みが顕著だ。アフリカ事業の成長率はこの4年近く20%以下が続き、21年は7.96%にとどまった。そのため、アフリカでの売上高が占める割合は年々低下し、21年は49.05%で19、20年に比べそれぞれ28.2、10.4ポイント減少した。

市場での地位を見ると、アフリカでのトランシオンのシェアは40%以上で1位を維持しているが、アフリカ市場の競争激化、業界全体の成長率の鈍化を受け、これまで市場トップに立つことで得てきた高い売上総利益も試練に直面している。アフリカ市場での21年の売上総利益率は前年から1.18ポイント低下して27.81%だった。

アフリカ市場が伸び悩み、同社はインド、バングラデシュ、パキスタン、インドネシアなど他の新興国へも進出し始めた。アフリカ以外の新興国での21年の売上高は前年比67.14%増の242億9800万元(約4600億円)で、21年の売上高の50.95%を占めた。年平均成長率はここ2年で108.4%に達している。

しかし、アフリカ以外の新興市場での売上高は急速に増加しているものの、収益力はアフリカ市場に遠く及ばない。アフリカ以外の市場全体の売上総利益率は21年に15.02%にとどまり、前年より0.87ポイント低下した。

これは、すでに強力なライバルがいるためだ。トランシオンの強みはライバルに比べて明確ではないため、市場開拓も困難だ。同社の第2の市場であるインドでは16年からこれまで黒字を実現しておらず、市場の地位も楽観できず、市場シェアは18年の4位から21年には6位に低下した。

主要市場のアフリカではトップの地位にいるが、成長が伸び悩む。その他の新興市場で「アフリカの携帯電話王」の伝説を再現するには、トランシオンは想像以上の困難を克服しなければならない。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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