動画共有サイトの「ビリビリ動画」、第4Qでは収益構造改善か

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2月28日、動画共有サイトの「ビリビリ動画(Bilibili)」が2018年第4四半期(10~12月)と2018年通年の決算を発表した。

決算報告書によると、ビリビリ動画の2018年年間売上高は41億3000万元(約660億円)で、前年比67%増。第4四半期の売上高は11億6000万元(約185億円)で前年同期比57%増となり、市場予想の10億5900万元(約170億円)を上回った。調整後純損失は1億5000万元(約24億円)で、純損失率は13%。決算発表後、株価は時間外取引で6%上昇した。

第4四半期、ビリビリ動画のユーザーは継続して増加。月間アクティブユーザー数(MAU)は9280万、そのうちモバイル端末からのMAUが7950万を占め、それぞれ前年同期比で29%と37%の増加となった。第4四半期の課金ユーザーは月間平均440万にも達し、前年同期比298%増。引き続き高い成長率を保っていることがわかる。

ユーザー規模の拡大と同時に、コミュニティユーザーの活発度も増している。ユーザーの1日当たり平均滞在時間は78分で、前年同期より5分増加。1日当たり平均動画再生回数は4.4億回、月平均のインタラクション数は10億回にも達し、それぞれ前年同期比で107%、298%の増加となっている。

売上高を事業別に見ていくと、目下売上の大半を占めているゲーム事業が7億1000万元(約114億円)で前年同期比15%増。第4四半期でも同社が中国でのライセンスを独占するモバイルゲーム「Fate / Grand Order」が変わらぬ人気を保っていた。このゲームはかつて売上高全体の6割近くを占めていた。2019年第2四半期には、すでに認可番号を取得しているゲームを続々とリリースする予定だ。

注目に値するのは、第4四半期の売上高におけるゲーム事業の比率が下降して62%にとどまったことだ。ゲーム事業の比率は第1、2、3四半期ではそれぞれ79.38%、76.92%、68.5%だった。非ゲーム事業の売上高は前年同期の16%から38%に上昇した。以前に比べ、収益構造が改善したといえよう。以前はゲーム事業の割合が高すぎることで、収益構造の単純さが指摘されていた。

第4四半期の広告事業売上高は前年同期比302%増の1億7000万元(約28億円)だった。パフォーマンスベースの広告が増えたためだとしている。

ライブ配信と付加価値サービス事業の売上高は2億元(約32億円)に達し、前年同期比276%増となった。ライブ配信とコンテンツが課金ユーザー獲得を牽引している。コンテンツが充分にない分野に関しては、ライブ配信のコンテンツとカテゴリを拡充し、収益率を上げようとしているところだ。

昨年12月、ビリビリ動画は「閲文集団(ChinaLiterature)」、「掌閲科技(i Reader)」との提携で、一気に20作余りの中国製新作アニメを発表した。その中で同社が複数のアニメ制作会社と合同でリリースしたオリジナルアニメは10作近くにのぼる。

このほか、昨年11月には正式に「ビリビリマンガ」をスタートさせた。その後に行った「網易(NetEase)漫画」の主要資産買収を通して、コンテンツの拡充を進めている。

eスポーツも重視しているコンテンツの一つだ。同社は昨年、eスポーツの分野において、全米プロバスケットボール(NBA)のヒューストン・ロケッツと戦略的提携を締結しただけでなく、eスポーツ専門の子会社「上海嗶哩嗶哩電競信息科技公司(bilibili E-sports)」を設立した。現在ビリビリ動画は国際的なプロeスポーツリーグである「リーグ・オブ・レジェンド」の中国リーグ(LPL)のフランチャイズ権と、「オーバーウォッチ・リーグ(OWL)」の恒久的フランチャイズ権を保有している。

アニメ、ゲーム分野における実力と収益力を強化するため、同社は昨年テンセント、アリババからの出資を受けた。昨年10月、同社はテンセントと共同で、ACG(アニメ、コミック、ゲーム)分野での戦略提携を発表。両社はアニメ、ゲームなどの一連のコンテンツ産業のサプライチェーンにおいて提携を展開している。同年12月には、アリババ傘下のEC「タオバオ(淘宝)」とコンテンツ事業及びビリビリ動画の「IP(知的財産)事業の収益化」方面での提携に合意している。

全体的に見て、ビリビリ動画の収益化に向けた一連の取り組みは効果を上げている。董事長の陳睿寄氏は「将来的には広告とライブ配信事業がゲーム事業を超え、力強く成長することを望んでいる」と語った。(翻訳:山口幸子)

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