36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
人工肉には植物肉と細胞培養肉があり、細胞培養肉とはバイオエンジニアリング技術によって動物の細胞を体外で培養した肉の組織で、本物の肉に分類され、口当たり、風味もほとんど変わらない。
米コンサルティング大手「マッキンゼー(McKinsey)」のデータによると、細胞培養肉市場は2030年に250億ドル(約3兆3000億円)規模になると予想される。技術開発の期間が長く難度も高いため中国は遅れを取っていたが、近年スタートアップが設立されている。
「極麋生物」は2021年8月設立で、細胞培養牛肉を手掛け、細胞株、培地の組成およびコスト管理、組織工学で利用する細胞培養の足場、バイオリアクターの基盤技術に注力する。新しいバイオ技術で肉製品の新しい形態をつくり、現在の畜産がもたらす公共衛生、食品安全、環境汚染、アニマルウエルフェアの問題を緩和し、持続可能で家畜を犠牲にしないたんぱく質の生産体制を推進する考えだ。
細胞培養肉は本物の肉よりも優れた点がある。まず、抗生物質とホルモン剤の使用が減り、微生物汚染や伝染病の恐れがなく、より健康的で安全だ。次に、技術で肉質や栄養を調整できる。生産効率は畜産業をはるかにしのぐ。さらに重要なのは、二酸化炭素排出とエネルギー消費の削減に貢献することだ。
極麋生物が牛肉を選んだのは、牛肉は飼育過程での環境汚染が最も深刻で、細胞培養牛肉は最大の環境保護改革になるからだ。また、牛肉にはさまざまな価格帯があり、細胞培養肉のコストを本物の肉に近づけるのが最も容易だからだ。
オランダの培養肉企業「モサミート」が2013年に発表した初めての細胞培養肉のパテは32万5000ドル(約4000万円)と極めて高価だったが、現在コストは大幅に低下している。例えば、モサミートは2020年半ばに牛肉製品のコストは1キログラム当たり180ドル(約2万3000円)だと発表した。また、イスラエルの「フューチャーミート(Future Meat Technologies)」が2021年に生産した鶏肉製品(約113グラム)の価格は7.5ドル(約1000円)だった。しかし、なお高すぎるコストは実験室の細胞培養肉を事業化するうえで最大の課題となっている。
細胞培養肉生産の5大要素は、細胞株、培養液、培養容器、足場、最終製品だ。コストに影響するのは主に培地で、1リットル当たり3000~4000元(約5万7000~7万6000円)になる。そのため、スタートアップは主にいかにコストダウンするかで競い合う。
創業者の曹哲厚氏は「極麋生物は、従来の細胞培地の重要成分をダイズやトウモロコシなど安価な原料から抽出した天然エキスに置き換えることで、培地のコストを抑えている。代替比率は約50%まで引き上げた。今年は培地のコストを1リットル当たり100元(約1900円)に近付け、来年には20元(約380円)を目指す。また、今年は牛肉の細胞バンクを設立する予定だ」と話す。
曹氏は、5年以内に細胞培養肉のコストを1キログラム当たり100元(約1900円)に下げる計画だ。同氏は「価格が高いままでは大衆向けの製品にならない。多くの人が試してみたいと思い、価格も受け入れることができる細胞培養肉製品をつくることが目標だ」と語った。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録