中国、スマート農業を推進 作物栽培のAIモデル構築で効率改善

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中国、スマート農業を推進 作物栽培のAIモデル構築で効率改善

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農作物の全産業チェーンサービスを手掛ける「小蟻大象南京数拠科技(Xiaoyi Elephant Nanjing Data Technology、以下、小蟻大象)」がプレシリーズAで「原象基金(Esencia Fund)」から1000万元(約2億円)規模の資金を調達したことがわかった。今回調達した資金はAIを利用した作物成長モデルの意思決定効率改善と、農業関連の川上・川下企業をつなぐ「畊雲」プラットフォームの市場拡大、AIを指標とする農場の構築やブランド運営などに充てる。

ここ数年、中国では多くの若者が都市へ出稼ぎに行くことで従来型の農業が人手不足や高齢化という問題に直面しており、スマート農業への転換は必然的な流れとなっている。中国の農林水産業を所轄する農業農村部が今年3月に発表した「第14次5カ年計画農業農村情報化発展計画」でも農業のデジタル化を促進することが強調されている。また、中国のシンクタンク「前瞻産業研究院」の統計では中国のスマート農業の市場規模は2020年に約622億元(約1兆2400億円)、25年には1兆2600億元(約25兆円)規模となる見込みで、市場のポテンシャルは大きい。

しかし中国の農業は依然として産業チェーンが長く、耕作地が分散しており、栽培方法も個人の経験頼み、ばらばらの流通プロセスなどスマート化に当たっては課題も多い。

2018年に設立した小蟻大象はビッグデータとAI技術に基づき、大規模に作付けされる農作物の生産と運営でデジタル化されたクローズドループを実現した。同社の創業者である何瀟CEOは、小蟻大象のコアコンピタンスは農作物栽培のAIモデルを構築したことだと話す。

何CEOは2016年から多くの大学や国家レベルの研究室と研究を行っており、農作物の特徴を捉えた画像を5000万件以上収集、成長に影響を及ぼす24の要素に基づいて、農作物の成長モデルを作り上げたという。

このAIモデル構築は極めて難度が高いと何CEOは考えている。まず小蟻大象には先発優位性がある。現在同社はすでに大学や研究所などと提携しており、水稲栽培のAIモデル構築においては唯一無二の存在だ。また水稲の成長周期は長く、複雑であるため、AIモデル構築には時間がかかるうえ、試行錯誤も避けられない。

農作物栽培のAIモデルを構築することで、小蟻大象は農業生産のスマート化ソリューションと全産業チェーンのサービスを打ち出した。

AIシステムによる「DAOS」プラットフォーム

同社は面積が350~5000ム―(約23~330ヘクタール)の農場にスマート化栽培ソリューションを提供することが可能だ。従来型の農業は個人の経験に頼っていたため、意思決定と灌漑や施肥、農薬散布、収穫などのプロセスでスマート化を実現することは難しく、品質管理や農作物の問題を的確に解決するのに不利だった。

そこで小蟻大象は人工衛星による遠隔計測、ドローン、基地局を組み合わせ、どんな天候でも農作物の生育状況をモニタリングできるようにした。サーモグラフィ画像生成技術で作物の分子成分を分析し、状況に応じて標準化した栽培方法を選ぶ。現時点で生育予測的中率は98%、収穫前の生産量予測的中率は96%に達し、農場のコストを27.17%削減できているという。

低コストで規模に適した栽培を実現できるのは、小蟻大象が採用した人工衛星によるリモートでのデータ収集技術に依るところが大きい。センサーを利用した方法ではコストが高くなるが、人工衛星による遠隔計測技術は大規模かつ低コストのデータモニタリングが可能だ。そこに自社のAIモデルを組み合わせ、農作物そのものをセンサー代わりにすることで生育状況がわかるという。そのため、同社のソリューションのコストはセンサーを利用した場合の10分の1だという。

また、小蟻大象が打ち出した畊雲プラットフォームでは選抜育種、耕起、播種、管理、収穫、加工、備蓄、物流、販売という全産業チェーンそれぞれの段階における運営サービスを提供している。このほか、農場主に農業金融や農場ブランドの計画サービスも提供している。農業チェーンのデジタル化のメリットとは、中間流通の多すぎるプロセスを省けることだ。生産者と購入者をより直接的に結び付け、コストを下げ情報の遅れを減らす。

畊雲プラットフォーム

このほか、経営管理に関して事業者も畊雲プラットフォームから流通業者やサプライヤーを追跡することが可能だ。現在、畊雲には1147カ所の農場、367の提携事業者、5万7028軒の農家が関わっており、2174人の新型職業農民に対し農業関連サービスを提供している。畊雲は委託を受けて管理している2万ヘクタールのほか、3.8万ヘクタールの農場にサービスを提供しており、年間の取引額は10億元(約200億円)を超えている。

小蟻大象の技術チームはIT大手テンセント(騰訊控股)、通信機器大手ファーウェイ(華為技術)などの出身者で構成されている。
(翻訳・山口幸子)

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