QQが見知らぬ人とつながる新機能をテスト 10代の若者から熱狂的な支持

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2010年、テンセント(騰訊)のチャットアプリQQが「漂流瓶(メッセージボトル)」機能をリリースした。漂流するボトルを引き上げると、直接つながっていない不特定の誰かのメッセージを受け取れるというもので、見知らぬ人とつながるSNSとしては中国で最初のものとみられる。ユーザーは3日間で100万人を突破、半年で1000万人に上ったが、昨年末に微信(WeChat)の同機能が成人向けサービスに悪用されているとして、機能停止に追い込まれた。

今年3月初め、QQは漂流瓶とよく似た「拡列」という見知らぬ人とつながる機能をリリースした。漂流瓶とは異なり、拡列の利用者は2000年代生まれの若者が中心で、個人のニーズや趣味に合った友だちを増やすことができる。テンセントによれば、この機能は内部テストの段階で、全てのユーザーに公開するかはまだ未定だという。

現代版「漂流瓶」:高度なマッチング機能

拡列機能には3つの楽しみ方がある。

一つ目は1対1で誰かとつながる方法だ。自分のプロフィールを書き込むとアプリの「広場」上でユーザーに公開される仕組みで、「+」マークをタップすれば友だちに追加できる。同じ趣味の友だちを探すのに役立つタグや、レコメンドされた見知らぬ人たちとの3分間チャットも利用できる。

二つ目はグループでつながる方法だ。拡列ページにレコメンドされているグループに加わり、グループ内の大勢の人を友だちに追加することができる。その多くが趣味に関して作られたグループだ。

三つ目は「暖説説」という投稿機能だ。文章や画像、動画など自分が投稿した内容がユーザー全体に公開され、友だち登録をしていないユーザーも「いいね」を付けたりコメントしたりできる。また自分の投稿を誰が見たか確認できる「足跡」機能もあり、そこから友達を追加することもできる。

2000年代生まれが熱狂

拡列という言葉は、もともとインターネットの掲示板で生まれた隠語だ。「友だち追加」を意味するこの語は、次第に若者同士で使われるSNS用語となった。

試しに拡列ページのグループをタップして見てみると、各グループの80%は2000年代生まれだった。2004年生まれのあるユーザーは、2週間で200人以上を友だちリストに加えたという。その理由は「面白いから」、さらに「クラスの友だちがみんなやっているから」だという。

こぞって友だちを増やす若者の中には、孤独感を癒やしてくれる親密な関係を求める人もいれば、互いにいいねを送り合って流行について行きたいという人もいるようだ。

Z世代が生命線

市場調査会社QuestMobile(QM)の「中国モバイルインターネット2018年度大報告」によれば、12月のショート動画の視聴時間はインスタントメッセージの利用時間を大きく上回った。微信と比べてもQQの月間アクティブユーザーは減少し続けている。しかしQQユーザーのうちZ世代(95年から2000年生まれ)が占める割合は、微信の33.3%を上回る37.5%で、Z世代がQQを支える新勢力となっている。

QMのレポートによれば、Z世代はニッチで新しいSNSを試すのが好きで、見知らぬ人とコミュニケーションを取るSNSを利用するのは交友範囲を広げたり、孤独を解消したり、同じ趣味の人を探すためだという。

今回、拡列機能がアプリの目立つ場所に追加されたことで、QQが見知らぬ人とのSNSに重点を置いていることが分かる。しかしエンターテインメント性に関してはビデオストリーミングの「投げ銭」機能しかなく、新鮮さを求めるZ世代を取り込むには大いに改善の余地があるといえるだろう。

見知らぬ人とつながる機能を足がかりに拡大できるか

モバイルアプリのデータ分析を行う「七麦数據(Qimai Data)」によれば、2018年中に159種類のSNSアプリがリリースされた。現在、見知らぬ人とつながるSNSアプリも、ショート動画をシェアするものや、位置情報サービスを取り入れたものなど、細分化が進んでいる。

テンセントとバイトダンスが火花を散らす中、リアルな友人とのSNSはテンセントの微信とバイトダンスの「多閃(Duoshan)」に二分されている。この強敵との正面対決を避けるため、エンターテインメント性が高い見知らぬ人とのSNSが開発者らの注目を集めるようになった。

QQの拡列機能によって見知らぬ人同士がスムーズにつながれるようになったが、ここから、ゲームやカラオケなどインタラクティブな活動へとつなげていくことが次のステップだ。拡列が十分な効果を上げれば、将来的にはポータルサイトとして独立したり、テンセントの別アプリに組み入れられたりする可能性もゼロではない。
(翻訳・畠中裕子)

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