木材売買のB2Bプラットフォーム「真木網」、 業界全体の効率化を目指す

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「中国木材与木材製品流通協会(CTWPDA)」情報センターの統計によると、2017年木材産業の生産額は前年比5.64%増の2兆1100億元(約35兆円)、総消費量は6億立方メートルに達した。木材業界は巨大な市場だが、未だにオフライン取引に大きく依存しており、改革は進んでいない。

そんな木材業界にB2Bサプライチェーンとワンストップの金融サービスを提供しようとするのが「真木網(zhenmuwang.com)」だ。

2018年に設立された真木網は、サプライチェーンファイナンス会社「金融湾(JRONE)」の社内インキュベーションプロジェクトだ。金融湾は、中小企業向けに金融サービスを提供していたが、2016年からニッチ領域での新規事業開発へと転換し、木材産業への進出を選択した。

創業者兼CEOの王玉泉氏は「木材産業は典型的な従来型産業であり、中間業者が多数存在するサプライチェーンの長さが原因となり、取引コストを下げられず取引効率が低い。同時に、景気変動の影響を受けやすい上、製品は標準化が難しく、価格弾力性も高い」と語る。業界には問題点が多く参入障壁は高い。オンライン取引を一気に浸透させることは困難だが、それはまた、長期的な発展が見込めるブルーオーシャンであるとも言える。

王氏は、サプライチェーンファイナンスの提供にあたっては、まず業界の運用効率を改善する必要があるとする。木材業は景気変動の影響を受けやすく、最近では1回の取引に平均約3カ月かかるという。この状況で単純に金融サービスを提供すれば、事業主は「資金繰りが厳しいー 借り入れー売上金回収に時間がかかるー 借り入れ」という悪循環に容易に陥ってしまう。

このため、真木網はまず木材業者と密接な関係を築き、業界データベースを構築して事業上の各ポイントを理解した上で、業務効率を改善してから金融サービスを提供するという。

これまで、インターネット企業が木材のB2B販売に関わる場合、情報の掲載とマッチングサービスまでが一般的だった。真木網の特徴は、基本情報の掲載やグループ購入などに加え、実際の売買や物流なども手掛けることだ。商品を実際に見られる倉庫とそこでの販売にも力を入れ、業者の手間を省き販売エリアが小さいという問題も解決する。

木材の保管は鉄鋼などに比べても簡単ではないという。中小企業の多くは、保管用の倉庫を借りて顧客に商品を見せる。そこで真木網は家具など木材製品製造大手「宜華生活(Yihua Lifestyle Technology)」と提携し、広東省汕頭(スワトウ)市にスマート倉庫を設立。50〜60万立方メートルの木材を格納することができるという。王氏は「木材業者の販売方法は、一般的に自社の交際圏内に限定されやや旧式なものだが、真木網では専門の担当者が買い手と連絡を取る。 業者のデータベースの確立に伴い、販売ルートやカバーする範囲は拡大を続けている」と語る。

買い手と売り手がプラットフォームに参加しやすくするため、真木網は情報公開料、スプレッド(売値と買値の差額)や評価鑑定料を請求しない。評価鑑定は、真木網の株主でもある宜華生活が行い、取引の参考資料として提供される。取引完了後の物流は真木網が担当する。木材輸送に関しては業界大手の「安通控股(Antong Holdings)」と提携している。

現在、国内の木材産業には統合された木材取引情報データベースがなく、中小業者は経験によって仕入れる木材の種類や数量を決定している。このため、真木網は林業系大学と協力して、すべての木材の標準パラメーター、過去の取引価格や販売元企業情報を含む業界データベースを構築したいと考えている。

王氏によると、木材業界では特に倉庫証券による借入の需要が高いという。真木網は今年中にも動産担保ローンや証券担保ローン、ファクタリングサービスなども開始する予定で、これらは同社のサプライチェーン金融システムを活用していく。また、宜華生活とも協力して業界のリスク管理モデルを確立していくという。

プラットフォームには現在200以上の販売元企業が登録し、100社以上が取引を完了した。取引金額は数千万元に達し、データベースには業界内の2万社以上に関する詳細情報が集められているという。2019年には新しい倉庫を中国南東の沿岸部に建設予定で、これにより約9000社近くを新たに集める計画だ。

現在、真木網は北京と広東に拠点を持っている。真木網及び金融湾の創業者兼CEOの王玉泉氏は、清華大学で物理学博士号を取得。東興証券の主任研究員、投資マネージャーなどを歴任した。共同創業者の黄侃氏は北京大学で博士号取得後、北京大学情報科学技術学院で講師を務めた経歴を持つ。
(翻訳・神江乃緒)

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