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昨年にリリースされたクローズドSNS「Spot」が、3月上旬からAppStoreのソーシャルネットワーキングカテゴリの人気ランキングで1位に座り続けている。同アプリはLBS(位置情報サービス)と紐づけた新たな趣向のSNSだ。
そのSpotがこのほど、一部の機能を更新した。
■画面右側に表示されていた「オンライン中の友だち」がなくなり、メイン画面の地図上に直接表示されるようになった。画面下メニューバー中央にある「近くにいる友だちを探す」をタップすると、地図上にオンライン中の友だちと現在地がピン表示され、「砲弾を発射する(あいさつをする)」などの交流ができる。
■24時間後に消失する匿名グループチャット「パーティー」機能が追加された。
機能の更新を経ても、プロダクトのコンセプトやユーザーのニーズは不変で、あくまで地図をベースとした友人間の連絡・交流ツールであることは変わりない。
今また、なぜSNSなのか?
Spot創業者はシカゴ大学を休学して起業した陳子凌(ロジャー・チェン)氏だ。同氏は「技術の進歩そのものは人々を幸せにするものではない。人が幸せを感じるのは気持ちが満たされた時だ。SNSはその基盤にあるものと言える」と述べる。
実際、インスタグラムのようなSNSはユーザーの焦燥感を煽ることでアクティブ率を上げている。「人と自分を比べる」心理を刺激されるからだ。一方のSpotが目指すのは、「人と人とのつながりが主導し、人とのつながりが幸せをもたらす」アプリだ。
では、なぜクローズドSNSなのか?
昨年はクローズドSNSがこぞってリリースされた1年だった。しかし、いずれも成功とは言い難い結果に終わっている。他の既存SNSから乗り換えてもらうという大きな壁に対して、Spotはどのような対策を講じたのだろうか?
Spotの運営チームが最も重要視するのは「コミュニケーションの手軽さ」だという。陳氏は「失敗したプロダクトは、ユーザーの需要を満たしていないことがすべての敗因だ。新しいプロダクトがユーザーに受け入れられるのは、既存のプロダクトに大きな問題があるからではない。新しいプロダクトのほうが、ユーザー間の交流がより手軽になっているからだ。気軽に友達とつながれる環境を維持できれば、ユーザーの乗り換えは心配に値しない」と述べる。
Spotの運営は引き算を心がけている。また、特別なプロモーション活動も行っておらず、宣伝と人気獲得とは相関関係がないという。
また、見知らぬ人同士よりも、知り合い同士の感情的つながりに一貫して重心を置く。ユーザーは友人同士で常につながっていたいという気持ちと同時に、自分から能動的にコミュニケーションをはじめることは望んでいない。友人に話しかける(=チャットをはじめる)ことに特段の障壁がないとわかれば、友だちとつながっていたいという欲求はさらに強固なものになる。
コミュニケーションの障壁を除くとは?
Spotのあらゆる機能はすべて地図に基づいたものだ。「現在地シェア」は、その人のストーリーをシェアすることにつながる。「そこで何をしているの?」という会話のきっかけにもなる。
UIデザインにも工夫が凝らされており、スタンプ機能やチャット機能によって、「友達同士で気ままにおしゃべりをする」感覚をうまく演出している。
たわいのないつぶやきを共有するには、既読になると同時に消失する「メモ」機能が便利だ。複数の友人に同時に送信すれば、返信してきた友人たちとチャットが始められる。
Spotを運営する「深圳那個什麼科技(SketchMe)」は2015年の設立以来、3回の資金調達を行っている。設立直後にエンジェルラウンドでテンセントなどから150万ドル(約1億6700万円)を調達したほか、2017年にプレシリーズAで「雲九資本(Sky9 Capital)」から、2018年に「BAI(ベルテルスマン・アジア・インベストメント)」などからそれぞれ数百万ドルを調達している。
(翻訳・愛玉)
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