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複数の情報筋によると、TikTokの運営会社「バイトダンス(字節跳動)」が「ライブ配信ミドルオフィス」の構築を進めているという。
現在、バイトダンスは主にショート動画のTikTok、「西瓜視頻(XiguaVideo)」、「火山小視頻(Huoshan Short Video)」などのショート動画商品を通してライブ配信事業を展開しているが、これらの配信技術と運営チームを再編して新たな「ライブ配信事業ミドルオフィス」を立ち上げ、傘下のライブ配信業務を一手に引き受けるようにする。
バイトダンスのミドルオフィスには「ユーザー拡大」、「テクノロジー」、「商業化」の3部門があり、新規獲得、定着、マネタイズという商品の重要なプロセスにおいて各部門がサポートを行う。このミドルオフィスシステムで「今日頭条(Toutiao)」やTikTokを含む同社の商品全てをカバーする。
今回、バイトダンスがライブ配信事業のミドルオフィスを単独で構築することから、ライブ配信がショート動画アプリの単なる付帯機能ではなく、重要戦略というポジショニングになったことがわかる。
それもそのはず、売り上げのプレッシャーを抱えるバイトダンスにとって、ライブ配信というビジネスモデルは「ドル箱」なのだ。
オンライン広告市場の競争が激化し頭打ちが近づく中、広告以外の新たな収益源を確保する必要に迫られていることも一因だろう。
広告はBtoBだがライブ配信はBtoCだ。バイトダンスがこれまでインフィード広告で培ってきた技術や経験を、そのままライブ配信に活かすことはできないため、新しいミドルオフィスを作る必要があるのだという。
これまで、バイトダンスでライブ配信の先頭を走っていたのは火山小視頻だった。同商品はリリース当初から動画共有アプリ「快手(Kwai)」を牽制する目的で、コンテンツの形態やトーン、ユーザー構成など全てにおいて快手に寄せてきていた。
ライブ配信の収益力がどれほどかは、快手の売上高を参考にできる。公式データではないものの36Krが入手した情報では、快手の2018年売上高は200億元(約3300億円)近くに上り、その大部分がライブ配信に由来するという。
企業としてライブ配信にかじを切った以上、火山小視頻だけでなくTikTokと西瓜視頻でもライブ配信の可能性をさらに探るのは当然の流れだろう。特にTikTokのデイリーアクティブユーザーは2億5000万人に上ることから、うまくライブ配信に誘導できれば巨大な成長が見込める。
しかしユーザー拡大の前に、供給サイドの準備を整えておく必要がある。複数のマルチチャンネルネットワーク(MCN)によれば、最近TikTokの運営側からもっとライブ配信コンテンツを掘り起こすようにと勧められたという。
TikTok側が影響力のあるインフルエンサーによる「ライブコマース」を売り込んできたとの情報もある。実際バイトダンスもライブコマースに関してはデータを公表しており、一例では火山小視頻で湖南省益陽市の農村ライブコマース「侗族姐妹花」が200万元(約3300万円)以上の地元特産品を売り上げたという。
ミドルオフィスの構築、供給サイドのコンテンツ準備、ユーザー拡大というライブ配信強化のためのバイトダンスの道筋がはっきり見えてきた。そして現在、前者二つが同時進行している。
とはいえ、TikTokのコンテンツや配信者のトーンがライブ配信に適しているのか、検証が必要だろう。またユーザーがライブ配信に多くの時間を費やすようになれば、ショート動画の利用時間が減り、TikTokの現在の収益構造に影響が及ぶはずだ。これらの問題は時間をかけて解決していくほかないだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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