アリババの顔認証決済支える「奥比中光(Orbbec)」、3Dビジョン分野の企業として初上場に

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アリババの顔認証決済支える「奥比中光(Orbbec)」、3Dビジョン分野の企業として初上場に

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3Dビジョン技術を手がける中国の「奥比中光(Orbbec)」が先月上旬、同分野で初めて上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット )」に上場した。今回発行したのは4000万1000株で、発行価格は1株30.99元(約614円)。上場後株価は上昇し、時価総額は今月11日時点で約159億元(約3140億円)だった。

世界1000社以上を顧客に

奥比中光は2013年に深圳で設立され、3Dビジョンによるセンシング技術を開発する。2017年に発売されたiPhone Xの顔認証機能「Face ID」は世界に広がり、同年は「3Dビジョン元年」と呼ばれるようになった。その後奥比中光の3D顔認証によるロック解除技術はスマートフォン大手OPPOの「Find X」シリーズに搭載され、アンドロイドのスマートフォン向けで初めて100万台以上出荷した3Dカメラになった。

また、奥比中光はアリババ傘下の金融サービス企業「アントグループ(螞蟻集団)」が運営する決済サービス「アリペイ(支付宝)」に導入され、2018年4月にアリペイと共同で顔認証決済技術を開発する「螞里奥技術(MALIO Technology)」を設立した。当時、アリペイは顔認証決済分野に30億元(約600億円)を投資すると発表し、奥比中光はアントグループに専用のオフライン決済用3Dビジョンセンサーを100万台以上提供するになった。

そのほかにも、3Dスキャンカメラを手がける米「Matterport(マーターポート)」や中国の大手不動産情報サービス「貝殻找房(KE Holdings)」の3D内見サービス「如視(REALSEE)」など向けに住宅を3Dスキャンする機能を備えたビジョンセンサーを開発したり、日本自動車用配管大手の三桜工業の中国事業に検査システムを提供したりする。火鍋レストラン「海底撈火鍋」や「呷哺呷哺(Xiabu Xiabu)」の配膳ロボットも奥比中光の提供する「目」を入れている。

同社の創業者である黄源浩氏は北京大学で学士号、シンガポール国立大学の修士号、香港城市大学で博士号を取得し、さらにマサチューセッツ工科大学で博士号を取得後2013年に帰国して起業した。

奥比中光の黄源浩董事長兼総経理

市場調査会社「Yole Developpement」の予測によれば、世界の3Dビジョンによるセンシング市場は2025年に150億ドル(約2兆円)規模に達する。アップル、マイクロソフト、インテル、ソニー、サムスン、独インフィニオン・テクノロジーズなどIT大手が中心になるが、奥比中光はアジアのダークホースだ。奥比中光は世界の1000社以上の顧客企業や多くの開発者にサービスを提供し、生体認証、AIoT(モノの人工知能)、消費者用電子機器、産業用3次元測量などで利用されている。

アリババ系企業「頼り」

目論見書を見ると、奥比中光の取引先はアントグループ、アリババ傘下のクラウドサービス「アリババクラウド(阿里雲)」、オンライン決済サービス「商米科技(SUNMI)」などだ。奥比中光が頼りとするのは実質的にはアリババで、最大顧客はアントグループ、第2位株主はアントグループが全額出資する子会社で、持株比率は黄氏に次ぐ12%に達する。

奥比中光の2019年、20年、21年の売上高はそれぞれ5億9700万元(約117億円)、2億6000万元(約51億円)、4億7400万元(約94億円)で、非経常収益を除く親会社株主に帰属する純損失は、それぞれ200万元(約4000万円)、2億3000万元(約45億円)、3億200万元(約60億円)だった。

同社の売上高は2019年に急増し、翌20年には前年比で56.62%減少した。目論見書によると、新型コロナ感染拡大の影響でオフライン決済用3Dビジョンセンサーの需要が一時的に減少したためだ。コロナの影響が弱まった21年にはオフライン決済需要が次第に回復、さらにサービスロボット、スマートロックなどのニッチ市場にも浸透し、売上高は前年比で83.11%増加した。

原文:WeChat公式アカウント「智东西(ID:zhidxcom)」、作者:李水青

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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