不振のスマートは吉利の新しいマイルストーンになれるか

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中国の自動車メーカー「吉利汽車(GEELY)」董事長の李書福氏は14年越しで新しいパートナーを迎えた。

昨年90億ドル(約1兆円)を投じて独ダイムラー社の筆頭株主となった吉利は、3月28日に杭州の本社でダイムラーとの新たな提携協議に調印したことを発表した。

前情報とは異なり、吉利はダイムラー傘下のスマート(Smart)の株式50%を取得するのではなく、出資比率50%ずつのダイムラーと合弁会社を設立するという。発表によると、合弁会社の本部は中国に置かれ、スマートは電気自動車(BEV)のブランドになる。また協議では、2022年から中国で新製品の生産を開始、全世界で販売することが示された。

ダイムラーにとって、スマートは設立以来ずっと赤字続きで、兄弟ブランドのメルセデス・ベンツの足を引っ張るお荷物だった。しかし吉利にとっては「飴」になるかもしれない。今回の提携は吉利のグローバル化戦略の重要な一環だ。

吉利董事長李書福氏は、ダイムラー取締役会会長兼メルセデス・ベンツCEOディーター・ツェッチェ氏(Dieter Zetsche)と契約に調印。

ダイムラーにとってのお荷物

2000年にダイムラーがスマートを100%子会社化してからというもの、スマートは同グループにずっと損失をもたらしてきた。さまざまなモデルを開発してきたものの、「これといったヒットモデルは一つもない」と独投資銀行バンクハウス・メッツラーのアナリストは語る。

メルセデス・ベンツとスマートの2018年の世界販売台数は前年同期比0.6%増の244万台、その内、スマートの販売台数は同4.6%減の12万9000台だった。それに対してスマートと同じ位置付けであるBMW傘下のミニ(MINI)の販売台数は36万1500台だった。

ダイムラーにとって最重要課題はこの「お荷物」を片付けることだった。新CEOにディーター・ツェッチェ氏を迎え、大胆な改革を断行、スマートの製造を中止し電気自動車ブランドに転向することを決定したのだ。

吉利にとってのスマート

吉利とスマートの提携の背後には李書福氏の「小型自動車コンプレックス」があるのかもしれない。李氏とスマートの関わりは14年前に遡る。
21世紀初頭、超小型車は中国市場でとても人気があり、2004年の国内販売台数は前年比12.33%増の140万1700台だった。市場シェアを拡大するために、自動車メーカー各社は価格戦争を繰り広げ、超小型車の市場価格は3万元(約50万円)を割り込んだ。

価格競争は続かないと思った李書福氏は技術プラットフォームを買収して、吉利の超小型車技術をアップさせるために、スマートと交渉し始めた。しかし両社は価格の面で折り合わず、吉利の戦略転換もあって提携には至らなかった。

中国市場で「大型車」が人気を集める中、吉利は超小型車を諦めなかった。だが、独自にブランドを育成したものの成功にはほど遠い。このため吉利はダイムラーの筆頭株主になることを決めた。ダイムラーの方はちょうどスマートの新しいパートナーを探していたところで、両社が提携に至ったのはごく自然な流れだった。

より大きな可能性

吉利は過去数年間に、自社に足らないものを補って、グローバル会社になるよう、スウェーデンの高級車「ボルボ(VOLVO)」から、英スポーツカー「ロータス(Lotus)」、マレーシアの「プロトン(Proton)」、米飛行自動車の「テラフージア(Terrafugia)」まで様々な企業を買収して、グローバル企業になるべく自社に足りないものを補ってきた。特に2018年「蛇が象を飲み込んだ」と揶揄された18億ドル(約2000億円)のボルボ買収は、吉利戦略の重要な一環だった。

吉利はライドシェアにトライした最初の中国ブランドだ。2018年に傘下の「曹操専車(CaoCao)」がシリーズAで10億元(約166億円)を調達、その後の評価額は100億元(約1660億円)を超えたことが明らかになった。

吉利にとってスマートとの提携は、世界規模で一つの会社を運営するというシステムの構築を意味する。従来の自動車販売に加えて、スマートがライドシェア分野でも重要な部分になるかも知れない。これは吉利にとって願ってもないことだろう。
(翻訳:あおい)

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