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消費者向け商品であるTikTokが海外で好業績をおさめたことを受け、「バイトダンス(字節跳動)」は同社にとって初の試みとなる企業向け商品を海外に送り出そうとしている。
バイトダンスが海外市場向けに開発したオフィスソフト「Lark」が先日、正式にリリースされた。Larkは主にチームの作業効率を向上させる次世代オフィスソフトだ。現在は招待制で海外企業に公開している。
公式サイトによると、Larkはインスタント・メッセンジャー、カレンダー共有やオンラインでのファイル連携などオフィスソフトの基本的な機能を有するほか、オンラインでのテレビ会議などにも利用可能だ。
現在Larkに登録できる一般ユーザーは1日あたりの人数が限定されているようだ。また、企業の規模と需要に応じて「free(無料版)」、「basic(標準版)」、「business(ビジネス版)」、「enterprise(企業版)」の4つの製品モデルがあるという。
3月初め、米テクノロジー系ニュースサイト「インフォメーション(The Information)」は、バイトダンスがシンガポールで「Lark Technologies」という子会社を設立し、アメリカを始めとする海外市場へオフィスソフトを発売すると報道した。Larkの公式サイトにも、本社はシンガポールにあり、アメリカ西海岸にユーザーサービスを提供するチームがあると記載されている。このほか、海外メディアが情報筋の話として伝えるところによると、バイトダンスは今年中にLark開発チームのメンバーを倍増させ、1000人にする予定だという。
Larkが海外市場を選択したのは、ライバル製品との競争を考慮してのことかもしれない。
Larkは昨年11月には完成しており、バイトダンス社内では日常業務で使用していた企業向けチームコラボアプリ「釘釘(Ding Talk)」に取って代わっていたが、正式にリリースされることはなかった。当時、Larkは釘釘や微信(WeChat)オフィス版にとって強力なライバルになり得ると分析したメディアもあった。しかし現在のオフィスソフト市場では、上述の2社がすでに幅を利かせており、Larkが2社を超えるのは難しそうだ。
Larkの海外進出が確実になると、海外メディアは同製品がマイクロソフトやグーグル、Slackなどのオフィスソフト老舗企業の壁に阻まれるのでは、と報道した。しかしLarkは現在市場に出回っているオフィスソフトとは異なり、モバイル時代を生きる若者向けの「Office 365」や「 G Suite」により近いといえるだろう。
バイトダンスはTikTokの海外プロモーションの際に大金をつぎ込むと同時に、買収によるリソースの整備を行い、その結果非常に多くのユーザーを獲得した。しかし企業向け製品と消費者向け製品の間には高い壁があり、それは金銭ややり方一つで簡単に解消できるものではない。企業向け商品ではさらに安全性、カスタマイズやクラウドなど関連サービスも協調しなければならないだろう。そのため、Larkがどのような方式で海外市場を開拓していくかがカギになるとみられる。
今回の海外参入が順調にいくかどうかに関わらず、モバイルインターネット関連企業は既存市場での競争がますます厳しくなるだろう。この状況下で、企業向けというバイトダンスにとって競争のない未開拓市場がいっそう重要になってくることは疑いようがない。それは売上だけでなく、インターネット業界の中で同社の立ち位置を決めることになるからだ。そのためバイトダンスは今回の海外進出に注力せざるを得ない。
バイトダンスはもう一つ、中国企業向けのオフィスソフト「飛書」を開発中だという。機能はLarkと類似しており、現在はまだテスト段階である。同社は最近、ベンチマークとしていたアウトライナーアプリ「WorkFlowy」を買収しており、それ以前にもクラウド型文書作成ツール「石墨文档(shimo.im)」に出資したり、時間管理ツール「朝夕日暦(sortime.com)」などの仕事効率化ツールを買収している。今後もバイトダンスはオフィスソフト市場での投資や買収を加速するだろう。
いずれにしろ、バイトダンス創業者でCEOの張一鳴氏はすでに企業向け市場を重要な方向性として位置付けている。
(翻訳:山口幸子)
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