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フォーブスは4月2日、世界で最も高い実績を誇るベンチャー投資家ランキング「ミダスリスト(Midas list)」の2019年版を発表した。「投資界のアカデミー賞」と称されるミダスリストに選出された中国の投資家は、史上最多の21名に達し、全体の1/5を超えた。セコイア・キャピタル・チャイナの創業パートナー沈南鵬(Neil Shen)氏は、2年連続で第1位を獲得した。
時代の変化と中国企業の「上場ブーム」
昨年2018年版ランキングを報道した際に、36Krでは「中国投資家の時代が始まった」と宣言したが、この判断が正しかったことが証明された。米国の巨大企業を中心としたIT市場が成熟期を迎えるにつれ、拡大するIT市場の好機を掴んだ中国のハイテク企業や機関投資家がスポットライトを浴びるようになったのだ。
今年のミダスリスト発表にあたり、フォーブスは「FacebookやTwitterの投資家がランキングを『統治』する時代は終わった」と強調した。この二つの巨大IT企業に集まる投資及びその背後にいる投資家が次世代ベンチャー投資家に道を譲った格好になった。
2018年の中国新経済(キャッシュレス経済)時代において、企業の「上場ブーム」がランキングに大きく影響したことは明らかである。
昨年トップ10入りした「啓明創投(Qiming Venture Partners)」のマネージング・パートナー甘剣平(JP Gan)氏は、フードデリバリーの「美団点評(Meituan-Dianping)」、ストリーミングサイト大手「嗶哩嗶哩(bilibili)」、ファッションECモール「蘑菇街(Mogujie)」3社の上場により投資回収(Exit)を果たし、今年はトップ5に選出された。2018年7月26日、ソーシャルECプラットフォーム「拼多多(Pinduoduo)」はナスダックに上場している。これにより「光速中国(Lightspeed China Partners)」の宓群(James Mi)氏、IDGキャピタルの李驍軍(Xiaojun Li)氏といった主要投資家は投資回収を果たし、昨年より順位を上げたほか、「高榕資本(Gaorong Capital)」の創業パートナーである張震(Zhen Zhang)氏は初のランクインを果たした。
また、中国の投資家が多数本年度のミダスリストにランクインを果たしたのは、昨年一連の大型M&Aや新たなシリーズで資金調達したIT企業による影響が大きかった。「愉悦資本(Joy Capital)」の劉二海(Erhai Liu)氏によれば、中国の投資家が世界レベルで高いパフォーマンスを発揮できているのは、現在の中国社会の発展を支える「技術、大型産業、新たなビジネスモデル、社会転換と構造変動」という4つの推進力と密接に関係しているという。
劉氏は「中国のベンチャーキャピタル(VC)は米国よりも多くのチャンスに恵まれ、投資できる分野も広い。すでに産業構造が整っている米国では、VCの投資先は基本的にハイテク分野かビジネスモデル・イノベーションの二択しかない。しかし中国なら、従来型産業の自転車、カフェ、賃貸分野ですら新興産業になる。これはとても幸運なことだ」と語る。
女性投資家及び若手投資家の台頭
今年初めてトップ10入りを果たした「投資の女王」徐新(Kathy Xu)氏は、全12名の女性投資家の中で最も高い順位を記録した。中国の女性投資家は、ほかにもGGV Capitalの李宏瑋(Jenny Lee)氏、啓明創投の梁頴宇(Nisa Leung)氏、「真格基金(ZhenFund)」の方愛之(Anna Fang)氏が選出されている。
女性投資家だけでなく、若手投資家の台頭にも注目したい。「80後(1980年代生まれ)」の投資家である「源碼資本(Source Code Capital)」の曹毅(Charlie Cao)氏が昨年に続きランクインしたほか、中国の若手投資家を代表する高榕資本の2人の創業パートナーが初めて選出された。
(翻訳・桃紅柳緑)
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