原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
2003年にクリエイティブ分野に特化したウェブサイト「TOPYS」を立ち上げた黄永敏氏は、生活をとりまく全要素に関わる「デザイン」は、「消費を促すエネルギー」だと定義する。
広告プランナーやデザイナー向けに世界各国の優れた作品や業界情報を紹介するTOPYSは、すでに120万人を超えるクリエイターのコミュニティを形成している。2014年にはその運営会社として「看見文化伝播(TOPYS)」が立ち上げられた。
TOPYSは現在、以下の業務を主としている。
■オウンドメディア運営
前述のTOPYSはサービス開始からの16年間で、4万件以上にも及ぶ世界各国の優れた作品例、インタビュー記事、解説記事などを提供してきた。登録ユーザーは現在30万人超、月間訪問数は300万回に達しているが、そのうち40%は業界関係者だ。
■研修、イベント開催
収益事業として、業界関係者向けの研修やイベントを開催している。
2014年より開催している「MindWalk」は、世界各国のクリエイティブ現場を視察する研修旅行で、これまでに日本・ドイツ・スウェーデン・デンマーク・フィンランドなどの50社を訪問している。資生堂本社や佐藤卓デザイン事務所なども視察した。
同社が、2017年以来3回にわたって開催している「MINDPARK」は、フォーラム・エキシビション・ワークショップ・セミナーなどの形式で行われるクリエイター向けのイベントだ。世界各国で活躍するクリエイターに中国市場進出の機会を提供し、国内のクリエイター同士の出会いや交流の場を提供している。毎回約5000人が参加し、これまでに累計20カ国にわたる60人以上のトップクリエイターやデザイナー、500社の企業が参加してきた。最近閉会したばかりの第3回のイベントには、放送作家の小山薫堂氏など19人が登壇した。
クリエイティブやデザイン関連の市場規模は、決して大きくはない。2016年のデータでは、中国の文化・クリエイティブ・デザイン関連サービス業の売上総利益は5843億元(約9兆6000億円)で、文化関連産業全体の18.98%を占めるに過ぎない。
市場を拡大していくにはデザイン産業そのものではなく、その周辺産業との融合が必須だと黄永敏氏は考える。さらに、事業の収益化に向け、デザイン企業を大衆消費と結びつける試みを進めている。
デザイナーとブランドの協業を促すため、MINDPARKは今後より多くのブランドを招聘していく必要がある。現在、MINDPARKの参加者のうちクリエイターが占める割合は約50%で、企業や行政機関の参加も増えている。結果的に、登壇者や参加企業のおよそ30~40%が同イベントを通じて協業の機会を得たと同社は見ている。
とはいえ、同社はいまだ収益化の道を模索中だ。
TOPYSはクリエイティブ業界と他業界の接点を開拓すると同時に、デザイン業界と商業ブランドのマッチングを支援しているが、この分野では個々の案件ごとにそれぞれゴールの形が異なり、ノウハウを定型化することが難しい。そこで、同社はあくまで「マッチングの場」を提供するにとどめている。黄氏はこれを市場にたとえ、「自ら野菜を売り買いするのではなく、市場を運営して出店料を徴収するモデルだ」と説明した。
2016年からはコンサル事業もスタートした。年に2~3件の共同プロデュースやブランドコラボ案件を手がける。これまでに、アウトドアウェアブランドのザ・ノース・フェイスの創業50周年記念商品企画などで実績を上げている。
今年10月には、深圳市の商業地区にあるMINDPARK開催施設を商業空間としてリニューアルオープンさせる予定だ。7000平方メートルの敷地には、全面積の約6分の1を占める販売施設のほか、ワークショップ施設、展示施設、飲食店やポップアップショップなどを設ける。
看見文化伝播の従業員数は約40人。2018年にはエンジェルラウンドで資金調達を行っているが、出資者や調達額は非公開だ。
(翻訳・愛玉)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録