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中国では恒例となった、世界最大規模のECビッグセール「独身の日(ダブルイレブン)」がそろそろ始まる時期となった。日本企業もこのビッグイベントに対して準備を着々と進めており、今年は成長が著しい抖音電商(Douyin EC)も大きく注目されている。
抖音電商全球購(Douyin EC Global)では、特に日本と中国を繋ぐ越境EC事業を非常に重視しており、10月14日、中国でのビジネス拡大を期待する日本ブランドと、中国市場で影響力ある在日インフルエンサーを集めた交流会形式のイベントを都内で開催した。
「独身の日」の台風の目、注目の抖音電商
抖音電商全球購(Douyin EC Global)の黄益氏をはじめ、中国からの責任者もオンラインで参加し、まずは、抖音電商が短期間で急成長を遂げた秘訣やこれまでの実績、そして今年のダブルイレブンで日本ブランドが成功するために用意している数々の施策を公開した。
DAU6億人以上のユーザーを抱えている、中国最大のショートムービプラットフォーム「抖音」のEC事業である抖音電商(Douyin EC)は、同分野への進出においては圧倒的に後発であるが、今年5月に発表された数字によれば、2021年の抖音電商(Douyin EC)への出品数はすでに100億を超え、月平均で2億以上のショート動画、月平均で957万回以上のライブコマースなど、際立った急成長ぶりを見せているという。
そして年間1億元(約20億円)以上を売り上げたブランドは1211件に達し、そのうち134件は新ブランドであった。また年間1千万元(約2億円)以上を売り上げたインフルエンサーは12070人に達しているという。
では、なぜ短期間でここまでの成功に至ったのか。
簡単に理由を紹介すると、まず抖音電商(Douyin EC)では全方位型の全域興味EC(インタレストコマース)を打ち出していることにある。いわゆる興味ECというのは、ショート動画やライブコマースなどの動画コンテンツをフックにその視聴履歴や精度の高いレコメンド技術を活用することで、ユーザーが求める商品を自動的に推奨、購買に繋げるという画期的な仕組みである。また抖音電商(Douyin EC)では、ユーザーに欲しい商品を見つけてもらうという従来型の検索、モールタイプのEC機能も備わっている。
昨年の実績を数字で見ても、ショート動画数やライブコマース数が大幅に増加しているだけでなく、ユーザーの商品検索数が217%増、店舗PVが279%増、モール総売上高が661%増と、あらゆる面での成長が見られる。このように、さまざまな角度からユーザーの興味関心を捉え、より良い商品とユーザーの出会いを創出することに成功している。
今年のダブルイレブンでも、ユーザーの関心を引き、思わずたくさん買い物をしてしまう魅力的な仕掛けを多数揃えているという。例えば、大盤振る舞いのショッピングクーポン、超お買い得品の期間限定セール、ライブ中の特典などといった大掛かりな販促支援を、抖音電商(Douyin EC)が主体となり実施する。
抖音電商(Douyin EC)では、ブランドとインフルエンサーとプラットフォームとが手を取り合うことで一体となり、成長できる関係構築を目指しており、今回のイベントも、この想いを体現したアクションと言えるだろう。中でも日本ブランドが成功する上で重要な要素となるのがインフルエンサーであり、今回のイベントの目玉セッションは、ここに焦点を当てた取り組みとなっている。
日本企業のためにインフルエンサー交流会を開催
日本ではすでに多数の在日中国人インフルエンサーが活動している。彼らは抖音プラットフォーム上で数万人以上の中国本土のファンを抱え、日本の商品などを中国向けに発信することができ、大きな影響力を持っている。彼らに日本ブランドの商品を丁寧に紹介してもらい、より多くの中国人に知ってもらうことで購入に繋げることが越境ECを成功に導く秘訣だ。
しかし、日本ブランドにとって、多忙を極める人気インフルエンサーと簡単に出会ったり、自社の商品について詳しく説明したりする機会を作るのは非常に困難だという。そこで、抖音電商全球購(Douyin EC Global)はこの課題を解決し、日本ブランドがダブルイレブンで成功するために、日本在住の人気インフルエンサーと、日本企業の越境EC担当者との交流会を実施した。
日本ブランドの越境EC担当者によると、インフルエンサーとの連携に困っており、さらに、以前から注目していたインフルエンサーとイベント当日に商談したいと考えている参加者が多く、交流を楽しみにしていたという声が多かった。
「抖音で、あるインフルエンサーのライブコマースを見ると、いつも紹介する商品が飛ぶように売れていた。当社商品のことも是非知ってほしいと思っていたが、なかなか知り合う機会がなかった」「SNS上で繋がっているものの、インフルエンサーが多忙で、まとまった時間を取って打合せをすることが困難だった」と、日本企業側にはリアルな課題があるようだ。
そのような中で開催された今回の交流会では、個別の商談やインフルエンサーと企業との細やかな交流が活発に行われ、新しいビジネスも多数生まれているようだ。出店企業とインフルエンサーの両者がメリットを感じられる抖音電商(Douyin EC)の画期的な企画と言えるだろう。
ちなみに、今回の交流会の中でも人気だったのは「丽丽酱在日本」という抖音アカウントを運営する丽丽さん。67万人以上のフォロワー(22年10月時点)を抱え、特に高価格帯の商品との相性が抜群のインフルエンサーで、日本企業の製品ともぴったりだという。「彼女と話したくて交流会に参加した」という日本企業もあるほどだ。
抖音電商全球購(Douyin EC Global)でよく売れるというブランド
抖音電商全球購(Douyin EC Global)の分析では、同越境ECプラットフォームでもっとも売れているカテゴリとして「コスメ・香水・美容機器」「ヘルスケア・サプリメント」「食品」などが挙げられている。今年もダブルイレブンが迫る中、抖音電商(Douyin EC)は高成長を見込んで、そういった企業に様々な施策を発表している。今回のイベントを通じて、急成長する越境ECチャンネルとして、日本企業や在日インフルエンサーとも良好な関係を構築し、全員で成功していきたいという意気込みが強く感じられた。
たとえば、抖音電商全球購(Douyin EC Global)でよく売れるというブランドとして、越境EC販売に力を入れているのが、福岡に本社を構える健康食品会社の「HERB健康本舗」だ。早期から抖音電商(Douyin EC)が掲げる興味ECの可能性や、中国ユーザーへのリーチ力に気付き、年間数十人のインフルエンサーを活用し、特に健康に気遣う中国本土の女性に対するマーケティングを強化、抖音での販売も右肩上がりに成長しているという。同社の担当者もインフルエンサーの活用が成功のカギだと話しており、ライブコマースで自社製品をどのようにPRしてもらうか、インフルエンサーと綿密な調整を重ねたうえで、ほぼ毎日行われるライブコマースに臨んでいるという。
また、大人気の高級美顔器を中国で販売する「ARTISTIC&CO.GLOBAL」では、興味ECの変化に対応すべく、社内体制を変更。例えば、中国語が話せるKOLや抖音向けの映像制作経験者を採用し、定期的に動画を発信している。「異なるターゲットに対して興味を引くような動画や、美容の悩みに答えるコンテンツ、その時々の流行に乗った面白い動画など、様々な取り組みにチャレンジしている。」と、責任者は中国市場に期待しながら話している。
抖音電商(Douyin EC)としても越境EC事業は始まったばかりで、日本企業もここの1年で利用を始めたケースが多い。しかし、今後も参入する企業が増えることが想定され、また新しい生活様式により、まだ自由に旅行しにくい中国消費者にとっても日本製品は人気があるだろう。抖音電商(Douyin EC)で早期にノウハウを確立できた日本ブランドが、中国で大きな成功につながる日も近いのではないか。
(36Kr Japan編集部)
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