製品のIoT化で既存メーカーを支援する「滙思鋭科技」、シリーズAで数億円を調達

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スマート製品製造関連のソリューションを提供する「滙思鋭科技(HYSIRY Technology)」がシリーズAで数千万元(10億円前後)を調達した。出資者の「東方富海投資管理(ORIENTAL FUTURE CAPITAL)」は、対スマートマニュファクチャリング投資関連のアライアンス「智商投盟(AI Capital ALLiance)」のメンバーで、智商投盟の発起人は音声アシスタントなどを手がける人工知能・IoT開発企業「塗鴉智能(Tuya Smart)」だ。

スマートホームの進化に伴って登場した各種ハードウェア製品の中でも、スマートソケットやスマートライトなどは既存メーカーでも比較的手を着けやすく、安価なため、普及が進んできた製品分野だ。多くのメーカーは自社製品の開発を目指すが、実際にはソフトウェアとハードウェア双方のエンジニア、アプリ企業、クラウド企業、筐体メーカー、Wi-Fiモジュールのベンダーなど多くのリソースがなければ製品化は不可能である。加えて、安全性、利便性、コストパフォーマンスなども実現しなければならない。

多くのメーカーが抱えるこれらの障壁に向き合うのが滙思鋭だ。長年にわたりスマートコントロールパネルと周辺機器の開発に携わり、関連のサプライチェーンを築き上げてきた同社は、スマートコントロールパネルの製造のほかODM(委託者ブランド製造)も行っている。スマートソケットやスマートライトなどスマート製品の開発を目指すものの、技術力不足に悩むメーカーを支援し、迅速に製品出荷までサポートする。

具体的には、以下の2つのサービスを提供している。

■PCBA(プリント基板+アセンブリ)ソリューション:もともとソケットや照明器具を製造してきた企業には既存のモールドがある。しかし、これらをスマート化(IoT化)するためのPCBAが欠けており、滙思鋭がこれをカバーする。

■ODMサービス:顧客のニーズを汲みながら、設計開発から生産までをトータルに提案する。PCBAから筐体、スマートモジュールなどの周辺部品まで生産し、組み立て前までの全プロセスを担う。また、UL、PSE、エネルギースターなどの製品認証も請け負う。

これらのハードウェア製品には、アプリやクラウドプラットフォームとの連携が必要だ。そこで滙思鋭は、冒頭で言及した塗鴉智能と分業し、ハードウェア関連を自社で行い、ソフトウェア関連を塗鴉智能に委託している。

滙思鋭の李明CEOは、同支援サービスにより、メーカーは全体的な生産コストを15%削減できると説明している。ただし、製品力そのものと重要チャネル上の製品認証の取得にはまだ課題が残る。

製品力とは、市場に対するアジリティを指す。顧客のニーズや悩みを正しく理解し、これらに応える製品を開発すること、さらに未来の市場動向までを見据えること、間断なく製品をアップデートさせていくことなどが必要だ。

重要チャネルにおける製品認証とはUL、PSE、エネルギースターなど各地域の認証に加え、ウォルマート、コストコ、ベストバイ、ホームデポなどの小売大手が独自に定めた認証制度なども指す。

現在、滙思鋭は輸出メーカーに絞ってサービスを提供している。海外向け製品は求められる品質水準が高く、粗利も高いためだ。2018年の売上高は1億元(約16億円)を超え、黒字が続いているという。

出荷量が多いため、同社はコストでもサプライチェーンでも強みを発揮している。IoT製品の一部の部品は品薄状態が続いているが、これらのリソースもしっかり押さえている。サプライヤーの中には同社との独占契約を結ぶ企業もある。

今後はセンサーやカメラなど取扱製品も増やしていく予定だ。同時に、次の資金調達計画も進めているという。
(翻訳・愛玉)

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