TikTokライブ配信でトップを走るMCN「願景娯楽」、今年はライブコマースに注力

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TikTokライバー(ライブ配信者)のトップマネジメント企業「願景娯楽(Yuanjing Yule)」は、傘下に4万人のライバーを抱え、ライブ配信事業の売上高が月間7500万元(約12億円)に達した。

TikTokの公式ランキングでは、MCN(マルチチャンネルネットワーク)としてトップの座を守り続ける組織だ。ECや広告などの事業を含めれば、同社の売上高は月間1億元(約16億円)を超える。インフルエンサーのマネジメントを手がける「無優伝媒(JOY MEDIA)」や、動画クリエイターを束ねる「papitube(パピチューブ)」など、TikTok系の他の大手MCNを見渡しても、月間売上高で億越えを達成している企業は他にない。

同社がTikTokに進出したのは2018年4月だ。ライバーに特化するMCN(中国語で「公会」)としては先駆者だ。創業者の陳鵬博氏は、ブルーオーシャンに飛び込むことでまたたくまに所属ライバーを増やし、TikTokのライブ配信分野を掌中に収めた。次に、トップライバーには専門のコンテンツチームを結成して支援を行い、続いてショート動画コンテンツの配信にも着手している。

TikTokにおけるライブ配信事業は、2018年時点では目覚ましい成果を見せているわけではなかった。ただし、TikTok運営元の「バイトダンス(字節跳動)」が傘下に抱えるもう一つのショート動画アプリ「火山小視頻(Hypstar)」ではライブ配信サービスが大いに盛り上がり、2018年末時点でその月間売上高は10億元(約160億円)以上に達していた。

バイトダンスが今年最も重視している事業の一つがライブ配信であることは間違いないだろう。36Krの独自取材によると、同社は昨年より傘下にある全ライブ配信事業の収益化に向けて、バックヤードで大がかりな支援体制を敷いている。同社で最大級のアクセス数を誇るTikTokは、中でも重要な役割を担うことになるだろう。

一方の願景娯楽は、まずショート動画でユーザーを獲得し、ライブ配信・EC・広告によって収益を得るスキームを描いているようだ。

願景娯楽の創業者・陳鵬博氏

TikTokに完全特化した収益化スキーム

2018年、TikTokはライブ配信事業をスタートし、同年4月にMCNの取り込みを開始した。その第1号となったのが願景娯楽だ。願景娯楽はわずか2カ月で4000人のライバーを集めることに成功し、その契約総額は200万元(約3200万円)に上った。

同社の手法は、中堅ライバーやニッチ分野で息長く活躍できるライバーを大勢引き入れると同時に、すでに微博(Weibo)などのSNSで成功を収めている人気ライバーとも提携するというものだ。このような人気ライバーは多くの既存フォロワーを抱えているため、ある程度の成功が見込める。また、同社はとくにアイドル系コンテンツに強いため、彼らが取り込んだ人気ライバーの多くは俳優養成学校の在校生や、すでにSNS界隈では有名なインフルエンサーだ。

同社独自の戦略としては、契約ライバーへの投資を惜しまないという点が挙げられる。年間の最低報酬を保証したり、フォロワー獲得やアクセス増のための継続的な投資を行ったりして、特に専属契約を結んだライバーに対しては厚遇している。

また、TikTokというプラットフォームの性質上、ショート動画とは不可分の関係であることから、現状ではライブ配信の視聴者の80%がショート動画から流入である。ショート動画からライブ配信にユーザーを誘導し、投げ銭で収益を上げる仕組みだ。

同社傘下のライバーは現在4万人。彼らを100人体制の運営チームが支えており、月平均20%のペースで売上高を伸ばしている。

短編動画+ライブ+EC=マネタイズという方程式

願景娯楽は今年、投げ銭を収益源とする従来のモデルからライブコマースに徐々に移行している。

ECの超大手タオバオ(淘宝)では昨年、81人のライバーが1億元(約16億円)以上の売り上げに貢献したという。将来的には取引額5000億元(約8兆円)規模を目指すといい、同社の蒋凡総裁も「ライブ配信はもはや単なるお飾りではなく、将来的には事業モデルの主流になるだろう」と見据える。

多数のインフルエンサーを抱えるTikTokも同様に、ライブコマースに大きな商機を見出している。昨年5月にはオンラインショップを出店し、今年4月にはECに特化したミニプログラムをリリースしている。

願景娯楽もこの流れに乗り、「モノを売れる」ライバーの取り込みに動いている。TikTokで商品を宣伝し、タオバオへ誘導する仕組みを構築していくという。
(翻訳・愛玉)

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