わずか38グラム、OPPO最新ARグラス その軽量化支える有力ベンチャーとは

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中国スマートフォン大手OPPOが先ごろ、重さわずか38グラムの双眼スマートグラス「OPPO Air Glass 2」を発表し、大きな反響を呼んだ。長きにわたって双眼スマートグラス業界では製品重量70グラムが超えがたい壁となっており、50グラムが技術的な限界だと考えられてきたからだ。

OPPO Air Glass 2に採用されているニアアイディスプレイシステムは新進気鋭のスタートアップ「莫界科技(Meta-Bounds)」が提供している。業界ではガラスウエハーベースの回折光学導波路レンズが一般的だが、莫界は樹脂ウエハーの技術的課題を解決し、光導波路を50%以上軽量化することで、OPPO Air Glass 2が業界の製品重量の限界を突破できるようにした。また市場に出回っているさまざまなAR(拡張現実)デバイスは、視力矯正が必要な人には使いづらく、マグネット式の近視用レンズを装着する方式はかさばるうえ、長時間の装着には向かない。莫界の樹脂製導波路は独自技術により、視力矯正を必要とする人のニーズに対応もできる。さらに樹脂製光導波路は、ガラス製のものと比べて安全性や信頼性の面でも優れている。

莫界は2021年設立、世界最先端のAR技術を製品化することで、ユーザーに未来型のパーソナル体験を先取りしてもらうことを目指している。

樹脂製回折光導波路

光学ディスプレイの分野で、莫界は超小型光学エンジンや樹脂製回折光導波路などを独自に開発し、中国でも有数規模のクラス100、1000クリーンルームを備えたARニアアイディスプレイモジュール製造工場を有している。また設計、開発、生産から製品検査に至るまでを自社のみで完結できる世界トップクラスの能力と量産能力を持ち合わせている。AI技術の分野では、マルチセンサーシステムの定義能力や、空間測位、姿勢、SLAM(自己位置推定と地図作成の同時実行)、マルチモーダルインタラクションなどのアルゴリズム能力を構築してきた。これまでに100件近い特許を申請している。

設立わずか1年で、莫界はAR業界の二大コア技術に関してブレイクスルーを果たした。全ては、中心チームが光学やAI、消費者向け電子機器業界で長年にわたる経験を重ね、研究開発、川上・川下の産業リソースの統合、大規模商業化を結び合わせてきたことのたまものだ。

超小型AR光学エンジン

近年、国内外の大手テック企業の多くがAR・XR分野への投資や研究開発を強化している。メタバースや産業用メタバース分野への注目度が依然として高いことも、AR技術の進歩と実用化を後押しする力になっている。

市場分析会社Strategy Analyticsの最新レポートによると、消費者向けARデバイス市場の売上高は2020年から2021年にかけて3倍に成長しており、2027年には世界におけるAR専用ヘッドマウントディスプレイの出荷台数がおよそ6000万台になると予想されている。大手調査会社MarketsandMarketsは、AR市場が2023年までに600億ドル(約7兆9000億円)規模に達し、「優良なコンテンツとスムーズなインタラクティブ体験」という両輪で発展するビジネスのクローズドループが形成されると予測する。

この先、莫界と国内外の同業者が力を合わせることで、コストパフォーマンスの高いAR製品が全ての消費者にとって不可欠なデバイスになることを期待したい。

(翻訳・畠中裕子)

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