覚えておきたい2022年中国トレンドを振り返る

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2022年の中国はとにかく新型コロナウイルス対策に振り回された1年という印象が強かった。上海では3月末から約2か月間のロックダウンとなり、また秋から感染が全国で拡大しゼロコロナ対策の中で人々の行動が大きく制限された。12月にはゼロコロナから一転ウイズコロナで外出できるようになるも感染者が急増し、感染したくないという人々が家にこもり、年間を通して経済活動が停滞した。

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それでも新たなショッピングモールが建設され、モールに新しいチェーンが入り、スタートアップの資金調達は行われ、新しいサービスや新しいモノが登場し、流行が発生した。ここで36Krの記事やツイートから、2022年の中国トレンドやスタートアップが盛り上がった業界などを紹介していきたい。

1月、2月は北京冬季オリンピック・パラリンピックが話題の中心に。オリンピック公式キャラクターのビンドゥンドゥンは日本でも話題になった。冬季オリンピック効果で金メダルを獲得し中国で時の人となった「谷愛凌(アイリーン・グー)」選手には中国企業各社からイメージキャラクターなどのオファーが殺到した。オリンピックの影響で、ウィンタースポーツ人口も大幅に増え、亀のモチーフをした初心者用の二ーパッドとヒップパッドが人気になりSNSで話題を呼んだ。

SNSで話題となった亀パッド

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22年前半は上海ロックダウンをはじめ、地域的な感染拡大による行動制限があったものの、冬には前述のウィンタースポーツが流行り、春以降にはキャンプ、釣りやドライブのような郊外で非日常を体験するアウトドアがトレンドになった。一方、街中で目立つトレンドとしてはスケボー、サイクリングやフリスピーが取り上げられた。特にフリスピーは社交的な遊びとして社会人に人気となり、アリババが発表した22年に売れた商品ジャンルのひとつとなった。

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またショッピングモールでは、資金調達を受けて新手の外食チェーンやアパレルのスタートアップが続々と出店した。中国文化を再評価した「国潮」をベースに屋台飯を洗練されたデザインでアレンジしたチェーン店や、カクテルなどの低アルコール飲料のチェーン店のニュースが次々と出てきたのもこの時期。既存の外食チェーンはお茶や焼き鳥のメニューを用意したり、健康茶のメニューを導入したりして対抗した。外食だけでなく在宅での食事についても、レトルト食品のスタートアップが資金調達を受け展開を早め、一気に利用者を増やした。モールでは他にもディスカウントストアの台頭が目立った。

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家から遠出できないなかで、在宅での生活を充実させるためにペットや観賞植物もトレンドになった。ペットではないが、ケンタッキーフライドチキンのおまけについてきたポケモンのコダックは、左右に手を上げるギミックが人気で、一時期大ブームとなった。

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2022年後半になると、外食チェーンのスタートアップに関する資金調達ニュースを聞かなくなる一方で、レトルト食品については継続して様々な企業が資金調達を受けた。全体的に数百万元程の規模としては少額のスタートアップが目立ったが、長い時間の熟成が必要な白酒のスタートアップや、メタバース時代を見越したMRグラスのスタートアップ(Rokidなど)ついては飛び抜けて巨額な資金調達を受けた。

ゼロコロナ末期からウイズコロナへ転換するタイミングで人の移動は限られ、ダブルイレブンセールも低調だった。モールも寂しい状況が続き、特にドリンクティーショップは生き残りをかけて健康茶へシフトを加速した。微信(WeChat)のミニプログラムから遊べるパズルゲーム「羊了个羊」や、車のトランクを利用して商品を販売する「網紅市場」が話題になるも、トレンドといえるものは振り返れば上半期よりは少ない結果になった。消費してトレンドを作り出す大学生は、校内や学生寮でダンスや工作などの動画を配信した。モノを買わずにコトでアクセスや金を稼ぐ動きが目立った。

コロナで動きが鈍った中でも確かに新しいトレンドや資金調達のニュースは頻繁に報じられた。22年末はコロナの感染拡大で大変な状態が続いてる。それが過ぎて人々が行動できるようになれば、これまでのトレンドをベースに新たなトレンドが生まれることだろう。ただディスカウントストア、中古商品やDIYなど安さで勝負する、ハンドメイドでなんとかするという動きが目立った。23年にはこの流れが加速するだろう。また、自国だけでなく、海外に目を向ける企業も増えるだろう。

(作者:山谷剛史)

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