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Webサイト運用管理サービスなどを提供する「雲智慧(Cloudwise)」がシリーズDで2500万ドル(約27億円)を調達したことが分かった。リードインベスターの「華山資本(WestSummit Capital)」のほか、「セコイア・キャピタル・チャイナ」や「水木投資(Tsing Ventures)」、「浙江民営企業連合投資(ZUIG)」、「浙江絲路基金(Zhejiang SilkRoad Fund)」が出資に参加した。
今回の資金調達後、同社は海外での上場に向けて準備を始めるという。
SaaS型監視ツールからAPM、フルスタックサービスへ
創業者でCEOの殷晋氏によれば、シリーズCで資金を調達してからこれまで2年間、同社は以下の分野で成長を遂げてきたという。
まずツール型サービスからフルスタックサービスへの移行だ。雲智慧は中小企業向けのSaaS型Webサイト監視および運用管理サービス「監控宝」で事業を開始。2014年にはAPM(アプリケーション性能管理)プラットフォーム「透視宝」をリリースし、エンドツーエンドのアプリケーション監視サービスを開始した。2016年にはクラウド型負荷テストを行う「圧測宝」をリリースしたほか、時空間ビッグデータのモニタリングを行う子会社「天機数據(Tianjishuju.com)」を立ち上げ、全面的なスマート運用管理・データ分析ソリューションを前面に打ち出してきた。
もう一つは同社のサービス対象が、既存産業を中心に大きく広がったことだ。従来のツール型サービスの場合、主にインターネット業界の中小企業が対象で、客単価はそれほど高くなかった。2016年に業務運用・管理ソリューションを打ち出してからは、金融や物流、航空、不動産、製造など幅広い業界にサービスを提供している。
サービス対象が中小企業から大企業へ
2017年以降、雲智慧は中小企業から大企業へとサービス対象の軸足を移してきたが、企業とのやり取りや費用の回収などさまざまな困難があったと、殷晋氏は語る。また、単純にツールを納品するのではなく、プラットフォームレベルでソリューションを提供するため、同社のサポートや納入に関わる技量が大いに試されたという。これに対応するため、同社は独立したソリューション部を設立、さらに鄭州市にデリバリーセンターを建設して、全国各地の顧客に素早いレスポンスやサポートが行えるようにした。
業界ではIBMなど既存の運用管理サービスプロバイダが顧客を取り込んでいるが、雲智慧は企業の新規事業にアプローチして市場開拓を狙う。銀行を例に挙げると、モバイル銀行やデジタルリテールなど新たな事業部門では、ITシステム構築の期間が浅いため、スマート運用管理を始めとするツールやフルスタックソリューションが大いに必要とされている。雲智慧はこのようなニーズを掘り起こして顧客獲得を進める。
大企業の場合、自社サーバー内にソフトを組み込むオンプレミス型が中心だが、内部システムの構造は企業ごとに異なる。殷晋氏は、企業ごとに差異はあるものの、各業界に共通の指標があることに着目し、それぞれの業界に特化したソリューションを提供している。
雲智慧の昨年度の売上高は3億元(約47億円)近くに上る。3年連続で増加率100%を維持しており、増収の大部分はITOA(IT運用分析)とITSM(ITサービス管理)事業によるものだ。特に大きなニーズを持つ大企業は資金力もあるため、100万元(約1560万円)クラスの契約も日常的だという。
本シリーズの資金調達後は、商品の研究開発や販売チャネルの拡大に力を注ぐほか、今後の上場を見越して準備を始めるとのことだ。
(翻訳・畠中裕子)
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