シャオミの「暗黒時代」は終わったのか?(上)

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中国のスマホ大手シャオミ(小米科技)が長い暗闇から抜け出し、ようやく一息つくことができそうだ。

5月20日、シャオミが2019年度第1四半期の決算を発表した。グループの総売上高は前年同期比27.2%増の438億元(約7000億円)、数期ぶりの増収でV字回復を遂げた。また、営業利益は前年同期比7.4%増の36億1000万元(約580億円)、調整後純利益は前年同期比22.4%増の20億8000万元(約330億円)に達した。

中国経済全体が減速する中、競合他社の猛烈な攻勢とシャオミ自身の戦略調整が相まって、シャオミの先行きはやや不透明である。

スマホ事業の低迷と価格の「呪い」

■ 業績は好転したが、粗利益率は低下

2018年度下半期スマホ事業は売上低迷に喘いだが、今期の売上高は前年同期比16.2%増の270億元(約4320億円)と、回復した。

しかし、スマホ事業の粗利益率は前四半期の6.1%から3.3%に落ち込み、グループ全体では、前四半期の12.7%から11.9%に低下した。これほど低い粗利益率からすれば、シャオミのスマホ事業はほとんど儲かっていないと言える。

■ 「出荷台数増」と「値上げ」の両立課題

シャオミのスマホの出荷台数と平均価格を振り返ると、2017年第1四半期~2019年第1四半期の9四半期のうち、「出荷台数増」と「値上げ」が同時に実現したのはわずか3四半期であった。2018年第4四半期は、出荷台数と平均価格がいずれも前期を大幅に下回り、この約2年間の「暗黒時代」と称された。

シャオミにとって、「出荷台数増」と「値上げ」の両立は取り組むべき課題だ。

テクノロジー市場調査Counterpointのデータによれば、シャオミの低価格スマホ、「Redmi 5A」(定価70ドル(約7700円))は、2018年に2000万台近い出荷台数を記録し、2018年世界スマホ売れ筋ランキングで、唯一トップ10入りを果たした中国ブランドであった。

一定の出荷台数を確保しつつ、いかに廉価な「Redmi 5A」や「Redmi Go」から、徐々に高価格帯の「Redmi」や「Mi」シリーズに移行できるかが、今後の海外市場の成長を左右する。海外市場での出荷構造を調整し、中国国内で引き続き高価格化を進めていければ、再び「出荷台数増」と「値上げ」が同時に実現する「黄金時代」を迎えられるだろう。

■ 見せかけの復活劇なのか

スマホ事業全体に目を向けると、海外で型落ちモデルのセール効果により出荷台数が増加したが、粗利益率の低下は避けられなかった。今回の出荷台数増加は、見せかけの復活劇にすぎないのだろうか。第2四半期の結果に注目したい。

シャオミの「救世主」となるインターネットサービス事業

前回の決算発表後、シャオミの株価は大幅に下落した。その理由は、2017年第2四半期以降インターネットサービス事業の初のマイナス成長であった。しかし、今期は前年同期比、前期比共にプラスに転じ、インターネットサービス事業の売上高は42億6000万元(約681億6000万円)を記録した。しかも、売上高はスマホのわずか1/6だが、その粗利益はグループ全体の半分以上をを占め、スマホ事業の粗利益率低迷を補っている。今度こそ、シャオミが自信をもって「インターネット企業」と名乗ることができるだろう。

■ 事業の多角化が成長の鍵

インターネットサービス事業の成長を支えたのが、事業の多角化である。今期、広告、ゲーム以外の事業による売上は、インターネットサービス事業全体の31.8%にのぼった。

■ ゲーム事業は復活

中国政府がゲーム配信許認可の審査を再開したことで、シャオミのゲーム事業も3四半期連続のマイナス成長から回復し、前期比43.9%増を記録した。

■ 海外インターネットサービス市場は拡大の可能性

シャオミは海外市場でMi Pay、Mi Video、Mi Music等多様なインターネットサービスを展開しているほか、スマートTVの売れ行きも好調で、この分野はさらに売上高を伸ばす可能性がある。

■ 広告事業は厳しい状況が続く

広告収入は、スマホの出荷台数の回復に伴い今期プラス成長となったが、中国経済の今後も不透明感が続き、さらに企業も広告費予算を削減しており、シャオミの広告事業全体に暗い影を落としている。
(翻訳・桃紅柳緑)

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