高精度地図必要なし!中国EV「理想汽車」、AIが自動で学習する運転アシストの実用化へ

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中国の新興EVメーカー「理想汽車(Li Auto)」の李想CEOは、春節明けの仕事始めとなる1月28日に社員全員に宛てて書簡を出した。その中で、エンドツーエンド学習で作り上げられた高精度地図を使わない都市用「NOA(Navigation on ADAS、先進運転支援システムのためのナビゲーション機能)」を2023年末までに実用化させると発表した。

李CEOはさらに「理想汽車は2030年には世界最先端のAI企業になる」とも綴っている。

「設立当初、我々は15年後の理想汽車がAI分野(ソフトウェア2.0)で完全なシステム化能力を構築できたらと考えていた。自動運転性能を持ったスマートEVが最初のAIロボットとなり、さらには、AIのアルゴリズムが我々の生活を変えるAI製品に、AIのOSが推論用チップに、AIの学習プラットフォームが学習用チップになるなど、物理世界におけるAIの次世代技術革命を育む土台を創り出すことを望んでいる」。

李CEOによると、ソフトウェア1.0はヒトがロジックを組み立て、ヒトがプログラムを組み、コンピューターが演算し、ヒトがソフトを使うフェーズだった。ソフトウェア2.0はそれとは異なり、コンピューターがヒトを学び(感知・意思決定・実行・フィードバックのサイクルなど)、クラウドがアルゴリズムを訓練し、コンピューターがそのアルゴリズムを使ってヒトにサービスするフェーズだという。

ソフトウェア2.0の発想を活用した製品は中国で本格的に実用化が始まり、インテリジェントドライブ(運転支援)はその重要な実用化事例の一つになるだろうと李CEOは考える。

書簡によると、理想汽車のインテリジェントドライブは業界でも注目を浴びているBEV(Bird’s Eye View、鳥瞰)センシングやTransformerモデル(自然言語処理の深層学習モデルの一つ)をベースとして高精細地図を使わないNOAを実現していくという。

自動運転業界では現在、技術ロードマップとして「地図に頼らないセンサー重視」のソリューションが注目されており、「小鵬汽車(Xpeng Motors)」「毫末智行科技(Haomo Intelligent Mobility Technology)」なども「地図離れ」へ向かっている。

李CEOの今回の書簡からは、理想汽車が自動運転分野での弱点を改めて補完し、業界のトッププレーヤーに追いつこうとする意向が見て取れる。理想汽車はこれまでに1年かけて高速道路用NOAを独自に開発し、LiDARも搭載して小鵬汽車などと肩を並べるまでに成長した。

現在、理想汽車の全車種にはインテリジェントドライビングシステムが標準搭載されており、Max版とPro版の2つが展開されている。Max版は米NVIDIAのチップ「Orin-X」を2つとLiDARも搭載して演算性能は508TOPS、将来的にはオールシナリオ対応の運転支援性能を有するようになる。Pro版は中国の「地平線(Horizon Robotics)」の自動運転用チップ「征程5(Horizon Journey 5)」を搭載して演算性能は128TOPS、高速道路で運転を支援する。今年の年末に導入が予定される都市用NOAは、インテリジェントドライビングシステム「AD Max」を標準搭載する車種のユーザー向けに送信されると見られる。

(翻訳・山下にか)

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