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中国国内でAR用光学モジュールを開発している「瓏璟光電技術(Lochn Technology)」は、シリーズAで数千万元(数億円)の資金調達を行った。リードインベスターは「源星資本(VSTAR CAPITAL)」。創業者の馬国斌氏によると、今回調達した資金を用いて技術の研究開発や生産技術チームの拡充を行い、特に光導波路を導入した新製品の研究開発に注力し、自社工場の建設も視野に入れる。
同社は2014年創業。主要メンバーはマイクロディスプレイ業界で約20年の経験があり、主にバーチャルディスプレイの光学・光電子部品の開発と製造を行っている。AR関連の業界のハード・ソフトウェア開発者向けに、優れた性能・指標を備え、複数のソリューションが提供でき、量産にも対応し、価格競争力があるAR用光学モジュールを提供する。
AR用光学モジュールとはARメガネの重要部品で、一般的にコスト全体の30%以上を占める。そのため、低価格で高機能かつ量産可能なAR用光学モジュールは、ARメガネ産業およびAR業界の成長を加速させる重要な要素と見なされている。この目標を実現するために、市場にはこれまでにビームスプリッタ―やプリズム、アレイ導波路回折格子などの技術的アプローチが登場し、瓏璟光電はこれらを用いた多様な商品を提供している。
またアップルやマイクロソフトなど世界のIT超大手は光導波路に関心を示しており、これが将来的には主要なソリューションになる可能性がある。また、消費者向け製品のソリューションとなるとも見られている。しかし、現段階では、コストや歩留まり率が産業の発展を妨げるボトルネックとなっており、生産工程が複雑かつ非常に精密で、難易度も高い。同社は2018年にアレイ導波路を用いた光学モジュールの技術的課題を克服し、量産を実現している。
現在、瓏璟光電の主要顧客はARメガネメーカー、軍需やセキュリティ、観光、医療といった業界の企業が主だ。顧客の開発環境の利便性を高めるため、同社は最近、開発者向け汎用プラットフォーム「the future」を発表した。多くの開発者がアンドロイドを通じてARメガネを実際に体験したり、ARメガネの活用案をデモンストレーションしたりすることができる。開発者は自身の考案したARメガネの応用案を直接見て評価し、速やかに設計を改善して、実用化の過程を短縮することができる。
これまでの顧客は主にサンプル品の注文が主だったが、今年に入って多くの顧客が小ロット注文を行うようになり、発注数が数千台規模の顧客も少なくない。同社の年間売上高は今年、数千万元(数億円)に達する見込みで、来年は1億元(約16億円)超えも期待される。
ARは次世代のコンピューティングプラットフォームになるチャンスがある。英投資銀「Digi-Capital」の2018年の報告によると、5年以内に世界のARユーザー数(インストールベース)は35億に達すると見られ、売上高は850億~900億ドル(約9兆1000億~9兆6000億円)になる見込みだ。従来は低価格で高性能なハード製品が不足していたため、成長の加速が阻まれていたが、この数年で低価格のAR用光学モジュールが進化し、量産化を実現したため、業界の注目度はさらに高まった。アップルを含む大企業が来年あるいは再来年に関連商品をリリースするという話もある。現在、瓏璟光電の受注件数は数十倍から100倍に増加しており、業界は間もなく急成長期に入ると見られる。(翻訳・虎野)
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