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LiDARを開発する中国メーカー「禾賽科技(Hesai Technology)」が10日、米ナスダックに上場し、中国のLiDARメーカーとして初の上場企業となった。ティッカーコードは「HSAI」。今回のIPOで2億ドル(約260億円)以上を調達し、時価総額は26億ドル(約3400億円)を超えた。過去18カ月間に米国で上場した中国企業の中では最大規模のIPOだ。
2022年、米株式市場は厳しい冷え込みに見舞われた。投資家向け情報サービス「CVSource」によると、22年に米国で上場した中国企業はわずか14社にとどまり、IPO調達額は前年比96%減の5億8200万ドル(約760億円)と、この10年ほどで最低となった。
23年に入り、米国市場は回復傾向を見せるようになる。1月30日、教育事業を手がける「量子之歌(QuantaSing Group)」がナスダックに上場し、社会人向け教育を提供する中国企業として初めて米市場への上場を果たした。2月6日にも財務・税務コンサルティングの「理臣中国(Lichen China)」がナスダックに上場した。
禾賽科技は14年に上海で設立され、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けのLiDARを手がけるリーディングカンパニーだ。上場までに高瓴創投(GL Ventures)、シャオミ(小米集団)、啓明創投(Qiming Venture Partners)、美団(Meituan)、百度(Baidu)、ボッシュなどから総額5億ドル(約660億円)以上の資金を調達してきた。
LiDARを巡る世界的な競争が激化した22年にも禾賽科技はリードを保ち続け、初期装備ADAS採用数世界一、自動運転レベル4向けLiDAR市場シェア世界一、車載用LiDARの売上高世界一など、数々の「世界一」を獲得してきた。
目論見書によると、同社の売上高は2019年が3億4800万元(約67億円)、20年が4億1600万元(約80億円)、21年が7億2000万元(約140億円)で、純損失はそれぞれ1億2000万元(約23億円)、1億700万元(約21億円)、2億4500万元(約47億円)となっている。22年の1~9月の売上高は7億9300万元(153億円)で、前年同期の4億5900万元(約88億円)から72.77%増加した。純損失は1億6500万元(約32億円)で、前年同期の1億7500万元(約34億円)から縮小した。
現時点で同社の売上高は米国のVelodyne、Ouster、Luminar、イスラエルのInnovizなど世界の主要LiDARメーカーの売上高の合計を上回っており、世界でも収益化の見込みが最も高いLiDARメーカーと言えるだろう。
禾賽科技は現在、自動車の委託製造を行う主要工場10カ所余りにLiDAR数百万個を供給する契約を結んでいる。その中には長安汽車(Changan Automobile)、上海汽車(SAIC)、吉利汽車(Geely)などの自動車大手だけでなく、理想汽車(Li Auto)といった新興勢力のリーダーも含まれている。禾賽科技はすでに10万個以上のLiDARを納入しており、2025年には100万個を突破すると見込まれている。
LiDARは性能の進化が非常に速い業界だが、禾賽科技に出資した啓明創投のパートナー鄺子平氏は、同社がビジネス面での強みを少なくとも3つ作り上げてきたと語る。一つは製品そのもの。同社はまず自動運転レベル4向けの高度な技術を確立し、その後に運転支援向けのLiDARを発表して普及を進めた。二つ目は技術力、三つ目はチームの国際的なビジネススキルだという。LiDAR市場は急成長を遂げているとはいえ、現時点での規模はまだ小さいため、米国だけ、中国だけと単独の市場でのみ勝負するには限界がある。この点で、禾賽科技は世界市場で大きなインパクトを与えることができるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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