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中国の気密性試験装置(リークテスター)メーカー「海瑞思(Hirays)」が、シリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資者は深圳市創新投資(Shenzhen Capital)。
海瑞思は中国で最も早く気密性試験分野に参入した企業の1つだ。製品の防水性を検査する気密性試験は工業生産に普及している。小さなものでは完全ワイヤレスイヤホン(TWS)、大きなものでは新エネルギー車まで、防水性能を評価する装置とモニタリングシステムが必要となる。リークテスターは、圧縮空気を媒体に空気圧の変化を検査して漏れの状況を確認し、製品が防水要件を満たしているかどうかを判定する。
中国の気密性試験業界ではフランスのATEQや日本のコスモ計器など海外メーカーが70%以上の市場シェアを握る優位な立場にあるが、これは気密性試験が発展した経緯と関係している。最初は自動車部品に実施されていた気密性試験が自動車産業の発展に伴って大きく広がり、欧米と日本では自然にリークテスターメーカーが成長した。
市場の勢力図が変化するチャンスは、過去10年にわたる「3C(コンピュータ、通信、家電)」産業の成長がもたらした。米アップル製品が防水性を強調し始め、国内外のリークテスターメーカーが中国のアップル生産チェーンに参入した際、膨大な数の中国3C製造業者も気密性試験の需要を生み出した。海瑞思はこのチャンスをつかんだ。
同社は気密性試験のコア技術をベースに中国の3C製造業者に複数のサービスを提供している。中国で代理販売のみを手掛ける海外ブランドに比べ、同社は事前に顧客の製品を確認して検査装置を設計できる上、迅速なアフターサービスも可能だ。また、製品の改良が速く形態も異なる3C製品に対して検査装置の構造と構成を調整し、さまざまなブランドや製品の検査需要に応えている。実際に、顧客の注文を受けて7~10日以内に納品し、適合性の高い装置を提供している。
3C産業の拡大が減速した際に新エネルギー車市場が成長し、海瑞思はそこに新たな可能性を見出した。新エネルギー車の「三電(バッテリー、モーター、電子制御)」システムは防水要件がより高く、信頼性のある防水基準を満たすことで荒天時の正常な運転を保証できるため、リークテスターに対する業界の需要はさらに増える見通しだ。
気密性試験業界には技術的なハードルに加え、リークテスターの安定性と事例データの蓄積という大きなハードルがある。検査の安定性を確保するため、大手メーカーは装置サプライヤーを選ぶ際、より慎重に高い参入条件を定め、簡単に入れ替えることはない。業界参入が早かった海瑞思は、スマホメーカーの栄耀(Honor)や小米科技(シャオミ)、電気自動車(EV)の比亜迪(BYD)など業界トップ企業を含む2000社以上にサービスを提供し、多くの検査データと事例を蓄積してきた。
海瑞思は今後、踏み込んだ研究開発と事業提携を展開し、技術的な付加価値の高いリークテスター製品ラインを新たに開発する計画だ。
(翻訳・大谷晶洋)
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