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中国発のファストファッションEC「SHEIN(シーイン)」と「Temu」は、共に中国のサプライチェーンを活用し大量の商品を低価格で販売する。不可避とみられていた両社の「戦い」が、ソーシャルメディアと米国の法廷で始まった。
SHEINは昨年12月、米国イリノイ州北部地区連邦地方裁判所にTemuを提訴した。Temuが起用したインフルエンサーがソーシャルメディアでのプロモーションでSHEINに対して「虚偽や欺瞞に満ちた言葉」を発したほか、SHEINになりすました偽のアカウントを使ってTemuアプリをダウンロードするよう消費者を誘導した、と主張している。SHEIN側は、TemuがSHEINの名前をかたったマーケティングを中止することと、虚偽または侵害的なマーケティングで得た売り上げに対する賠償を求めている。ロイター通信が報道した。Temu側は「すべての告発を断固として否定し、自らの権利を積極的に擁護する」と回答している。
TikTokなどソーシャルメディアではTemuとSHEINを比較する投稿がよく見られる。例えば以下ではユーザーがTemuで購入した商品を見せて「これからはSHEINではなくTemuで購入する」というコメントを載せている。
ロイター通信によると、SHEINはこのほか同社のロゴとマーケティング素材を載せた偽のアカウントのスクリーンショットを提出し「TemuがSHEINになりすまし、消費者にTemuとSHEINは関係があると思わせ」、Temuのアプリをダウンロードするよう誘導したと主張する。
昨年9月にサービスを開始したTemuだが、現在の規模はSHEINに及ばない。英フィナンシャル・タイムズの今年2月の報道によると、SHEINは2022年に売上高が227億ドル(約3兆円)となり、H&MとZaraの年間売上高を足した数字を上回った。流通取引総額(GMV)は約 300億ドル(約3兆9000億円)、利益は7億ドル(約900億円)で4年連続黒字を達成した。一方、中国のビジネスメディア「晚点(LatePost)」の報道ではTemuの1日の売上高は700万ドル(約9億円)で落ち着いており、1月の売上高は約2億ドル(約260億円)だった。
しかし、両社のビジネスモデルとターゲット市場は重なっているうえ、Temuは急拡大している。SHEINは売上高の約1/4を米国で稼いでいるが、Temuもまず米国でサービスを開始し、スーパーボウルで巨費を投じて広告を出した後、カナダにも進出した。Temuは今月オーストラリアとニュージーランドに参入するという。低価格で大量の商品を販売するビジネスモデルのSHEINは柔軟性の高いサプライチェーンで極限まで効率を高め、現在はマーケットプレイスモデルも試みている。一方、Temuは直営モデルを採用して自社でサプライチェーンを管理し、SHEINのサプライチェーンの従業員を直接引き抜いたことさえある。ソーシャルメディアと法廷での「開戦」は、将来正面衝突する市場争奪戦の前哨戦かもしれない。
SHEINには資金調達やIPOの動向が伝えられている。フィナンシャル・タイムズの報道では、SHEINの評価額はピーク時の1000億ドル(約13兆円)から640億ドル(約8兆4000億円)に下落した。SHEINは今年米国でIPOを実施すると報道されているが、同社は当面IPOの計画はないとしている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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