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音楽のイノベーションに取り組む「視感科技(PopuMusic)」は、2015年4月に設立された中国のスタートアップ企業だ。テクノロジーを活用しゲーミフィケーションを使って音楽学習をより効果的に、楽しくすることを目指している。これまでにスマートギター「Poputar」や、スマートウクレレ「Populele」、ポータブルスマートピアノ「PopuPiano」を発表したほか、オンラインで演奏を学べるソフトウェア「PopuMusic」を開発し、アプリとも連携させて可視化し、ハード・ソフトを組み合わせてゲーム感覚で習い事ができるようにした。
同社が昨年6月に発表したPopuPianoは、29の鍵盤を持つ主旋律(メロディー)のキーボードと伴奏のコードパッドに分かれ、それぞれ鍵盤が光って弾く位置を示してくれる。AI音楽を手掛ける「霊動音(DeepMusic)」と協力し、PopuPianoにAIGC(AIコンテンツ生成)機能「三鍵成曲」と「音楽続写」を追加搭載した製品を今月発売する。
「三鍵成曲」は、ユーザーが好きな鍵盤を3つ選ぶと、その3つの音をモチーフに20秒から30秒程度の楽曲を即座につくり出し、音楽のスタイルを選べばそれに応じたフレーズができあがる。楽曲は次に押す鍵盤の位置と音の長さが落ちるブロックで表示される音楽ゲームに変換されスクリーンに映し出されるので、これに合わせて演奏を練習することができる。
「音楽続写」は、メロディーの一部を入力(演奏)すれば、それを元に楽曲をつくり出してくれる。ユーザーが1フレーズ弾けば、続きを1フレーズ作ってくれる、いわば音楽版「ChatGPT」といったところだ。ひとつのフレーズから楽曲全体を作り上げることもできる。この機能も視感科技と霊動音の協力で重点が置かれた点だ。
霊動音は2018年に音楽分野でAIGC開発の取り組みを始めた。同社を創業した劉暁光CEOによると、開発にあたって最も難しかったのは、AIGC技術をミュージシャンや音楽愛好家の作曲の流れにいかにして当てはめるかという点だったという。霊動音はこの5年間で正確にタグ付けした音楽データを大量に蓄積。質が高く効率の良い、音楽の各種モードのアルゴリズム生成能力を手に入れ、オーディオファイルやmidiファイルなどさまざまなフォーマットに対応できる。
視感科技の張博涵CEOは、音楽分野におけるAIGCには2つの方向性があるとする。ひとつは楽器を演奏できる人をさらに上手く弾けるようにすることだ。しかし著作権の問題や楽曲が供給過多である現状などから、AIGCはインスピレーションを記録するツールにしかならない。一方、楽器演奏を学ぶ初心者向けマーケットなら、著作権の問題を回避できるだけでなく、ユーザーが手を伸ばしやすくして興味を持たせ、初心者でも音楽を生み出せるようにすることができる。
そこで視感科技は三鍵成曲や音楽続写などにより、初心者を対象に音楽のゲーミフィケーションによる学習ツールを提供、可視化を進めてハードルを下げ、音楽初心者でも自ら楽曲をつくり出し、練習して演奏できるようにする。将来的に音楽著作権や音楽配信のビジネスを広げることにつながるかもしれない。
音楽分野におけるAIGCは未来のプロダクトの形態に影響を与えるだろうか。張CEOは「もちろん一定程度影響を与えるだろう。いずれ楽器はかたちを変え、鍵盤やギターのような実物は不要になり、テキストや画像だけで求める音楽を手に入れることができるようになるかもしれない。しかし技能についてはAIGCが直接習得を助けることはできない。この点についてはやはりソフトウェアやハードウェアを使う必要がある」と考えている。
音楽AIGCがさらに普及して楽器のスマート化が進めば、音楽の日常生活における比重はさらに増し、音楽の技能習得を目指すさらに大きなマーケットが誕生することになるだろう。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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