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ウエアラブルデバイス向けスマートセンシングソリューションを開発する中国企業「咸兌科技(CyweeMotion)」がこのほど、招銀国際(CMB International)が主導するシリーズBで1億元(約20億円)を調達した。これ以前にも台湾リアルテック・セミコンダクターとSBチャイナベンチャーキャピタルから出資を受けている。
咸兌科技は9軸センサー技術を中心に、心拍数やGPS、圧力計、ビジョンなど他のセンサーを統合したスマートセンシングソリューションを提供している。カメラや構造化照明、ToFなどを組み合わせたセンシング技術と比べ、より精度が高く低消費電力で、低い処理能力でも作動する。
同社は主に、スポーツ用のスマートウオッチやスマートバンド向けフィットネスモニタリングと健康管理ソリューション、およびモーショントラッキングを利用したスマートイヤホンやVR・ARデバイス向け没入型体験とコントロール機能を提供している。
調査会社IDCのデータによると、2022年の世界のウエアラブルデバイス出荷台数は約5億2000万台だ。現在スマートウオッチやスマートバンドなどのウエアラブルデバイスは主にフィットネストラッキングや健康管理に活用されており、各製品の目玉機能を支えるセンシングソリューションはデバイス全体のコストの20~30%を占めている。
咸兌科技を創業した劉順男博士は清華大学動力機械工学科の出身で、9軸の慣性航法システムに関わる100件近い特許の発明者だ。劉博士は同社の強みとして次の2つを挙げている。
まず、3軸ジャイロセンサー、3軸加速度センサー、3軸地磁気センサーを組み合わせた9軸センサーを採用することで、運動データの誤差を補正し、デバイスが運動状態を正確に判断できるようにしたこと。
さらにAIを活用して同社が有する膨大なデータを分析し、異なるシナリオごとに、大量の無効データを除外して有効データのみを計算できるようにしたこと。これによりデバイスの処理能力にそれほど依存することなく、ユーザーにデジタルソリューションを提供することができている。
例えばGPS電波が届かない地下駐車場を歩いてみると、同社の慣性航法システムは23分間にわたり現在地を見失うことがなかったが、iPhoneだと1~2分で正確な位置を表示できなくなったという。
咸兌科技は商業化を急速に進めており、ウエアラブルデバイス向けソリューションが売上高全体の7割ほどを占める。シャオミやOPPO、OnePlus、realmeなど多くの中国スマホメーカーのデバイスに広く採用され、これまでに1000万台以上が出荷された。
また空間オーディオ対応の完全ワイヤレス(TWS)イヤホン市場が急成長していることを受けて、同社もスマートイヤホン事業を第二の成長曲線にしようと模索を続けている。
同社は3D空間オーディオ技術の量産化にも成功した。頭の位置の変化をリアルタイムで追跡して音響効果を調整することで、臨場感あふれる360度没入型の映画鑑賞や音楽鑑賞が楽しめる。この技術は、将来的にハイエンドTWSイヤホンの標準機能となるだけでなく、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)グラスの没入感を高めるうえでのコア技術になると見込まれている。
現時点でアップルやサムスン、ファーウェイもこの技術を開発するスキルを有しているが、社外に技術を提供しているわけではない。咸兌科技は多くのTWSブランドのサプライヤーとして、シャオミや1MORE(万魔)、EDIFIER(漫歩者)、Cleer(冠旭)などにソリューションを提供している。
(翻訳・畠中裕子)
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